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敦賀気比の栄冠へ連なる北陸勢の目覚ましき躍進。
~センバツ初Vと若手監督の台頭~ 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byKYODO

posted2015/04/24 10:00

念願の選抜制覇に沸く敦賀気比ナイン。平沼翔太(中央)ら4人がU-18代表候補に選出。

念願の選抜制覇に沸く敦賀気比ナイン。平沼翔太(中央)ら4人がU-18代表候補に選出。

 北陸4県(新潟、石川、富山、福井)各校による春、夏の甲子園大会優勝は今大会前まで一度もなかった。決勝進出でさえ'78年春の福井商(準優勝)、'95年夏の星稜(準優勝)、'09年夏の日本文理(準優勝)の3回だけ。北陸は長らく弱小地域と認識されてきた。それが、'09年夏の日本文理の快進撃以降様子が変わった。過去5年を振り返ってみよう。

'10年春……敦賀気比8強
'10年夏……新潟明訓8強
'13年春……敦賀気比4強
'13年夏……富山第一8強
'14年夏……日本文理、敦賀気比各4強

 特筆されるのは昨年夏の大会で、4強に進出した日本文理、敦賀気比以外でも星稜、富山商が2勝ずつして16強に進出、つまり北陸勢が揃って2勝以上している。これもまた快挙であった。

 北陸勢の監督は若い。敦賀気比・東哲平監督は今年35歳、富山商・前崎秀和監督は38歳、星稜・林和成監督は40歳である。日進月歩と言ってもいい高校野球の技術的進歩についていくには年齢的若さは必要不可欠。北陸勢の躍進を語る上で見逃せない要因と言っていい。

センターラインに必ず下級生が入るチーム構成。

 優勝校の敦賀気比に焦点を当てると、投手、捕手、遊撃手に好選手が多い。投手はストレートに力があって勝負球の変化球を備え、捕手と遊撃手は強肩というのが近年の特長である。

 この3ポジションで形成するセンターラインに毎年必ず下級生が入っている。エース平沼翔太は昨年から背番号1を背負い、今年の遊撃手は2年生の林中勇輝である。下級生を1人入れることで次の世代まで強さを持続させる。これは智弁和歌山、大阪桐蔭にも共通する、強豪であり続けるための選手起用法である。

 戦術・戦略面ではどうだろう。大阪桐蔭戦後、選手の1人に相手投手攻略のポイントを聞くと、低め変化球を捨てることとストレート狙いの徹底を口にした。

 昨年夏、大阪桐蔭は平沼の投球フォームから球種を見抜き、15対9の大量得点差で退けて決勝へ進んだ。その夏の仇を敦賀気比は春に果たしたことになる。

 雪深い福井と北海道の高校が選抜大会の決勝戦を戦った、それは高校野球が個人技で争う次元を超え、情報・戦略・戦術の領域に深く踏み込んで戦っている現実を広く思い知らせたと言っていい。

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