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「安く買って高く売る」を極限まで。
セビージャの“ミダス王”モンチ。 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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photograph byMarca Media/AFLO

posted2015/04/23 10:30

「安く買って高く売る」を極限まで。セビージャの“ミダス王”モンチ。<Number Web> photograph by Marca Media/AFLO

ウナイ・エメリ監督(右)と名物SD“モンチ”の信頼関係がセビージャ独自の補強計画を可能にしている。

「出て行く日には、成功を生むシステムを残したい」

 現場と強化部の二人三脚によるチーム強化が実を結び、リーガでは32節終了時点で4位バレンシアと勝ち点2差の5位、ELでもゼニトとの準々決勝ファーストレグを2-1で先行し、2連覇へ向け着実に歩みを進めている。

 その傍ら、エメリの元にはミランなど複数のビッグクラブから問い合わせが届いており、セビージャも2018年までの長期契約をオファーする準備を進めている。

 未来が不透明なのはバルセロナやバイエルン、トッテナムなどとの関係が噂されるモンチも同じだ。この件について、彼は「噂話を気にしている暇はない」と言いつつこうも話している。

「永遠に続くものなど存在しない。だから私がここを出て行く日には、その後も成功を生み出し続けるシステムを残していきたい。セビージャを愛しているからね」

 失うことを恐れず、能動的に代謝を繰り返すことでクラブを成長させてきた彼らしい言葉である。

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