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史上稀に見る“小さな”ミラノダービー。
欠場の本田と長友、未来はどっちだ。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2015/04/22 10:40

史上稀に見る“小さな”ミラノダービー。欠場の本田と長友、未来はどっちだ。<Number Web> photograph by AFLO

ともにミラノダービーに出場が叶わなかった本田圭佑と長友佑都。これまで、試合で2人があいまみえたのは1度のみ。来季の2人の去就に注目が集まる。

メネズ依存の現状では、本田も黒子にならざるを得ない。

 だが、今のミランにとってより深刻なのは、エースFWメネズへの過度の依存だ。インザーギのミランは、“メネズとその他の黒子たち”のチームになっている。

 加えて問題なのは、インザーギにもそれを改善するつもりがないことだ。よしんばそのつもりがあったとしても、それを可能にする指導者としての経験値や引き出しが彼にはまだ少なすぎるのだが……。

 本田が監督の絶大な信頼を受けていることは、アジアカップ出場による不在期間があったにも関わらず、30節までの出場時間がチームで4番目に長い1670分に達していることからもわかる(※トップはFWメネズの2450分)。

 冬にレンタルでやってきたFWデストロとFWチェルチは、それぞれの買い取りオプションが高額のため、彼らは遠くない将来には古巣に戻る公算が高い。

 ボールを持ちたがり、戦術的約束を無視して即興性の高いプレーを好むFWメネズは、強力なカリスマ性とリーダーシップでチームを牽引するFWテベス(ユベントス)やFWイグアイン(ナポリ)とは根本的に異なる。

 確かに本田へのインザーギの信頼は厚い。それは間違いない。しかし、メネズがいる限り、本田は彼を生かす黒子的役割を強いられるのだ。

 インザーギは、自ら率いるミランの脆さの原因を知っている。ダービー後、かすれた声で言った。

「このチームには、リーダーがいないんだ」

ミランの売却話も佳境、売り先は?

 ミランのクラブ売却話も、いよいよ現地メディアを賑わせている。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙は、ダービー翌日の紙面で「ベルルスコーニは、4月中に買収の有力候補であるビー・タエチャウボル氏と交渉のテーブルにつくだろう」と伝えた。ベルルスコーニは、バンコクの金融ブローカーグループを率いる“Mr.ビー”から、クラブ株式60%を今年中に譲渡する条件で、5億ユーロのオファーを受けている。買収の対抗馬とされる、香港の富豪リチャード・リーの出方も気になるところだ。大きな山場は近い。

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