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「短いイニングを全力」に適性が?
ロッテ・大嶺祐太、復活の場所は。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/04/22 10:50

「短いイニングを全力」に適性が?ロッテ・大嶺祐太、復活の場所は。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

同じく千葉ロッテの内野手である大嶺翔太とは実の兄弟。一軍定着を争う形になっていたが、ここへきて兄・祐太が一歩リードか?

ストレートで押すスタイルと、ワインドアップ。

 入団後は1年目から一軍デビューを果たすなど順風満帆に見えたが、期待されたほどの力を「継続的に」残すことはなかった。抜擢を受けては勝利し、時には完封もする。しかしシーズンを通して活躍することがなかなかできない。ドラフト1位選手としては、物足りない姿ともいえた。

 キャリアハイは'09年に残した、16試合登板して5勝6敗。ここ2年は復活の兆しを見せつつも、年間を通してローテションを守れず、'09年を超えることはなかった。

 そこにきて、この日の登板である。

 昨年までとの違いはいくつもあった。1つは、ストレートでぐいぐいと押していくピッチング。球種の割合を見ると、ストレートは50%強と特段多いわけではないのだが、柳田、内川、李大浩のクリーンアップを相手に見せた、勝負する姿勢が印象的だった。

 そしてもう一つが、投球フォームがワインドアップになっていたことだ。大嶺自身も「これまではクイックで投げていたけど、思い切って挑戦してみた」と説明。躍動感のあるピッチングフォームが、彼の印象を変えたのかもしれない。本人の言う「甘いコースに行っても、ファールが取れるストレート」も実際に投げられているように見えた。

 試合前の伊東勤監督は、緊急昇格ながらも大嶺に期待を寄せていた。「今は中継ぎという役割をやってきていて、調子もいいみたいなんでね」と胸を躍らせていたのだ。ファームでは9試合にすべてリリーフとして登板し、クローザーとしても2つのセーブをマークしていた大嶺への評価が上がってきた中での、上々のピッチングだった。

リリーフが大嶺にとっての“Right Position”なのでは?

 ひょっとすれば、ひょっとする。この日は3イニングを投げたが、この“仕事”もアリなのではないか。

 その仕事とは、長いイニングを考えるのではなく、ショートイニングをぐいぐいと押していくリリーフ投手だ。大嶺の持ち味を最大限に出せる位置に配した方が、彼は生きるのではないか。

 野球でも他のスポーツでも、あるいは会社などのどのような組織でも、どの位置に配置されるかで人は大きく変わる。それまではほとんど目立たなかった人物が、適切なポジション、いわゆる“Right Position”に配置されることで水を得た魚のように活躍することがある。

【次ページ】 「次は先発のチャンスを」と伊東監督は言うが……。

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