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喝采鳴り響くコートへ。ジョージ、待望の戦線復帰。
~骨折から8カ月、再びNBAの舞台に~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2015/04/19 10:40

当初は絶望視された今季中のカムバックを果たし約15分プレー。アリーナは大いに沸いた。

当初は絶望視された今季中のカムバックを果たし約15分プレー。アリーナは大いに沸いた。

 プロの選手であっても、シュートを決めるより嬉しい瞬間がある。試合に勝つよりも心が満たされることもある。インディアナ・ペイサーズのポール・ジョージにとって、4月5日に行われたマイアミ・ヒート戦第1Q残り5分34秒が、その時だった。

 去年8月1日、アメリカ代表の公開練習試合で右足を開放骨折したジョージは、この試合で復帰を果たした。長いリハビリの間には何度も壁に直面し、そのたびに骨折した時のことを思い返していた。きついリハビリを途中で投げ出したくなった時もあった。その苦労を知っていたファンは、コートに戻ってきた“我らがスター”を大喝采で迎えた。

「ファンが迎えてくれたあの時は、今までで最高に嬉しい瞬間だった」

 試合後、ジョージはそう振り返った。そして、「このチームに残りたいと思い、(1年半前に)契約を延長したのも、彼らがいたからだ」と、熱いファンに感謝した。

プレイオフ進出のため、戦線復帰をエネルギーに。

 シーズンも終盤に差し掛かり、ペイサーズは未だプレイオフ出場が確定していない(4月8日現在)。そんな微妙なタイミングでジョージが復帰したのは、この時間のためだった。もちろん、少しでもチームの助けになりたいという気持ちもあったが、それ以上に、本格復帰となる来シーズンに向けて、努力を続けるためのエネルギーが欲しかった。何カ月も観客がいないジムで努力を続けてきた後だけに、喝采が鳴り響く中でコートに足を踏み入れ、プレーできたことは、忘れられない経験となった。

 折しも、この日は復活祭の日曜日。試合前に行った礼拝では、「傷は神から試されている証」との教えを聞き、落ち着いて試合に挑むことができた。夢見ていた通りに最初のシュートを決め、4Qの連続3Pシュートで復帰を実感し、今季からの新背番号13番に合わせたかのように13点をあげた。速攻からのレイアップを外すミスもあったが、ジョージ自身は「あのミスは、きょう戻ってよかったと思う理由のひとつ。恥ずかしかったけれど、今、恥ずかしい思いをできたのはよかった」と、前向きに受け止めた。試合にも勝ち、プレイオフに一歩近づいた。

 試合後、ジョージはしみじみと言った。

「まるで、すべてシナリオ通りのようだった」

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