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“豪速”メルセデスに挑戦できるのは誰か?
~空力、トルク、パワーすべて向上~ 

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今宮純

今宮純Jun Imamiya

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photograph byGetty Images

posted2015/04/08 10:00

開幕戦優勝のハミルトンがインタビューに来たシュワルツェネッガーと“I will be back!”。

開幕戦優勝のハミルトンがインタビューに来たシュワルツェネッガーと“I will be back!”。

 開幕戦オーストラリアGPで2位ロズベルグに1.360秒差で勝ったハミルトンだが、実は「タイトル防衛戦略」にのっとった、見た目以上の“独走ゲーム”だった。

 レースタイムは1時間31分54秒067。もっと速く走れたはずだが、そうしなかったのは今季パワーユニット(PU)規定で1基減り年間4基制限になったから。ドイツGP中止が決定し、'15年は全19戦。昨季と同じGP数を4基でカバーするには、1つのPUに全力負荷をかけすぎぬよう温存する必要がある。長丁場を意識したハミルトンのペース配分に、タイトル防衛の心構えが窺える。

“豪速”ニュー・メルセデスのW06シャシーはダイナミック・ダウンフォースが増えた。高速コーナーが少ないメルボルンだが、あらゆるコーナーで旋回・脱出速度が高まり、直線最高速度は中位でもラップタイムは向上。この新空力性能は序盤のコースで高速コーナーが増えるだけに、ますますアドバンテージとなる。

ハミルトンは予選で2位に0.594秒もの差をつけた。

 PU106Bハイブリッドはさらなるトルクアップを実現。これはコーナー出口加速時に起きるリアのスライド量が大きいことで分かる。他のメルセデス・ユーザー勢はその傾向に苦労し、リア・サスペンション調整に余念がなく、タイヤの偏摩耗に苦しんだ(とくにウイリアムズ)。加えてパワーアップも実現し、排気系エキゾースト部分が大型化されたのがその特徴だ。エネルギー回生機能効率も高め、ストレートエンドでの“滑走(コースト)”が目立つ。3つのバージョンアップで彼らは豪速化。ライバルたちを寄せつけぬ開幕ダッシュを切った。

 PPのハミルトンは予選で2位ロズベルグに0.594秒、3位マッサ(ウイリアムズ)に1.391秒、4位ベッテル(フェラーリ)に1.430秒もの大差をつけた。単純計算すると58周レースで大独走可能な実力を秘めていた……。

 では追う候補は? レースベストタイムで3、4位のフェラーリ、予選で2列目3位のウイリアムズか。レッドブルは新PUのドライバビリティ(応答性)が課題で、序盤はその対策に時間がかかりそうだ。開幕戦から見えたこと――。

 豪速メルセデスに挑む権利はフェラーリにあり。初戦のようなニアミスやピットミスなしに、食らいつけるか。

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