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「マイペース男」有原航平の計り知れないスケール。
~日本ハム・ドラ1右腕の本質とは?~ 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/04/02 10:00

広陵高では3年春にセンバツベスト4。早大時代は通算19勝12敗、防御率2.72の成績。

広陵高では3年春にセンバツベスト4。早大時代は通算19勝12敗、防御率2.72の成績。

 感情が見えない。何があっても動じない。淡々と投げ続ける。それはピッチャーにとってはとてつもない武器になる。ファイターズのドラフト1位、有原航平は、そんなタイプのピッチャーだ。有原はこんな話をしていた。「そこは意識しています。普通にやったほうがいい結果が出ますからね」

 見ようによっては斜に構えているふうにも映る。だから大学時代の有原は誤解されることが多かった。4年の秋、右ヒジの炎症が治まらず、開幕戦の登板を回避。優勝が懸かった早慶戦でも無理をしてまで先発せず、リリーフに回った。そんな有原に対してドラフト直前、各球団のスカウトの間ではヒジの状態のみならず、「意気に感じるところが見えない」「マイペースが過ぎる」と疑問の声が飛び交った。しかし、有原を担当していた大渕隆スカウトディレクターはこう話す。

「有原の場合は自分の感覚を大事にしてマイペースを貫くタイプだから、それがわがままに見えるのかもしれません。でも実際に話をしたら、本質はそうじゃない。わがままなんじゃなくて、逆に高い視点から、いろんなことが見えているんだと思いました。図抜けた選手ってそうなんですよ。僕ら、常人の感覚では計り知れないものが見えている。そういう雰囲気を出せる選手って、毎年、3、4人しかいない(入札時の)ドラフト1位の中でも、1人いるかどうかなんです」

慎重にギアを上げる中、イースタンで149kmを計測。

 ヒジについても医学的には問題ないとの情報を得たファイターズは、自信を持って有原を1位で入札。4球団競合の末、クジを引き当てた。2月、二軍キャンプで行なわれた有原のブルペンセッションをわざわざ“皆勤”して見届けた栗山英樹監督は、有原についてこう話している。

「彼はスケールが違う。持って生まれたものが違うんだよね。ヒジに不安がなくなってちゃんと投げ始めたら絶対にこのチームの軸になるピッチャーだし、こちらとしては慌てないように考えてるよ」

 自主トレでは一度もピッチングを行なわず、キャンプでもヒジの状態を確認しながら慎重にギアを上げてきた。3月末にはイースタンの試合で149kmを記録。リミットを越えて腕を振れるようになれば一軍デビューも見えてくる。マイペースを身上とする有原は今、慎重に段階を踏んで、来るべき日に備えている。

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