「選手の自己責任が重くなる」

　かつて柏レイソルで強化部強化や契約担当を務め、現在は田口泰士や玉田圭司の代理人を務める宮本行宏はこう語る。

「昔、僕はクラブの中にいたからわかるのですが、エージェントとクラブが良い信頼関係をもってやらないと絶対にトラブルが起きます」

　そうなったとき、最も被害を受けるのは誰か？　言うまでもなく、それは選手だ。

　西真田は言う。

「移籍期間には玉突きのように選手が動くので、エージェントはクラブや同業者とのつながりを持っていなければならない。それを理解していない人間と契約してしまった選手は、移籍がなかなか決まらない可能性があります。エージェントは片手間にやれる仕事ではないんです」

　田邊は「選手の自己責任が重くなる」と注意を促した。

「今までなら、代理人は有資格者の中から選んでいたので、質が保たれていました。厳しい試験を突破してきたわけですから。しかしそれが自由になったことで、玉石混淆になる。選手がエージェントを選ぶときの自己責任が重くなります」

　サッカーの代理人には、交渉能力だけでなく、サッカーと法律の知識、業界内のパイプ、先を読む力が求められる。

　選手にとって、さらに代理人選びのセンスが問われる時代になる。