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<再び世界の頂点を目指して> “未来のサッカー日本代表”を強くするために、今やるべきことを考える。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2015/03/19 11:00

<再び世界の頂点を目指して> “未来のサッカー日本代表”を強くするために、今やるべきことを考える。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

福西崇史

「個と組織、そして心技体。すべてを充実させていく」

 日本にJリーグが誕生して20年ちょっと。サッカー文化の歴史の浅い日本が短期間のなかで世界の国々に挑むところまできたのは、ここまでの育成が間違いじゃなかったことを表していると思う。

 しかし今が過渡期にあるのも間違いない。「勝つ」という部分にフォーカスする段階に入ってきたのかなと感じている。

 よく「個」と「組織」のどちらが大切かという議論になるが、勝つためには両方をバランス良く上げていかなきゃならないというのが僕の考えだ。

 まず「個」で言えば、たとえば宇佐美貴史(ガンバ大阪)や原口元気(ヘルタ)のように自分で打開できる若い選手が多く出てきた。ただ、勝つことを目的とするならドリブルのみならず、課題の決定力を含めてより指導を細分化していく必要があるのかもしれない。様々な経験をしてきた世代が引退して次々に指導者に回っている時代性を考えても、フォワードのみならず、ポジションごとに専門性を高めていく指導は決して不可能ではないと思う。

 とはいえ、体格差のある相手に「個」だけ高めても勝てない。並行して「組織」を高める必要がある。求めたいのは自分たちで考えてつくり上げていく力だ。サッカーの世界は指導者に言われたとおりにすべてやることが100点にはならない。相手の戦い方に応じて自分で判断していくことで100点に近づくものだ。チームのなかでアイデアを出しあい、形づける。子供たちが日ごろからそうできるアプローチを考えていくべきではないだろうか。

 考えて実行する力は個を伸ばす意味でも大いに関係してくる。僕自身、地元の高校でプレーしていてエリートじゃなかった。スピードで劣るならポジショニングで、技術で劣るなら判断の速さでとか、デメリットをメリットで覆ってきた。たとえ失敗したとしても“考えたこと自体が成功”と思うようにしてきた。

 個と組織、そして心技体。すべてを充実させていけば、世界に勝つ日がきっとやってくる。

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