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<J開幕、プラチナ世代の逆襲> 宇佐美貴史 「こんな選手は俺以外にいない」 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/03/12 11:50

プラチナ世代筆頭の天才が、遂に覚醒した。3冠王者の称号を背負い、
今季は得点王とMVPも視野に入れる。すべての能力を兼ね備えた
“パーフェクト・フットボーラー”が、Jの舞台でさらに爆発する!

 昨季、“下剋上”を完結させたゴールに、宇佐美貴史の美学が凝縮されていた。

 第33節のガンバ大阪対ヴィッセル神戸――。宇佐美は左サイドでパスを受けるとゆっくりとドリブルを始め、ワンフェイクで軽々と一人を抜いた。さらに縦へ突破すると見せかけた刹那、宇佐美はノーステップでゴール前にゴロのパスを出した。

 守備陣は呆気にとられ、DFラインとGKの間にボールが転がって行く。あとはパトリックが押し込むだけだった。

 このゴールが決勝弾となってガンバは首位に立ち、最終節に優勝を決めた。

「究極のアシストでしたね」

 宇佐美は約3カ月前のプレーを、鮮明に覚えていた。

「得点者にワンタッチで決めさせるパスこそが、アシストだと思っているんですよ。僕の中では、それ以外はアシストじゃない。もちろん難易度は高いですよ。ゴール前は空間も時間も限られていますから。でも、だからこそ意味がある」

ゴールとアシスト、両方を武器にしつつある感じ。

 2014年は、宇佐美にとって新たな飛躍の年になった。ケガで出遅れてW杯メンバー入りはかなわなかったが、後半戦に大爆発。ゴールとアシストを量産して、ガンバ史上初の3冠の原動力になった。

 22歳がJリーグの新たな扉を開いた。

――ドイツ時代にインタビューして覚えているのは、「(自分には)いろんな能力があるから、自分でも自分を理解していない」と言っていたこと。ついにスタイルが見えてきたのでは?

「どうかな。毎年スタイルが変わっている気がしますね。そもそもポジションも変わっている。ドイツではサイドアタッカーでしたが、ガンバに帰った1年目はJ2で9番の位置(センターFW)で点を取ることを求められた。で、去年はパトリックが9番になって、自分は少し下がって10番の位置になった。そうしたらゴールを演出することを再発見した。ようやく全部を武器にしているという感じです」

【次ページ】 「僕はハッキリ言って、サイドの選手ではなかった」

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