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1年目に「明と暗」を経験した田中将大2年目のキーワード。
~エース格としての“表裏一体”~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2015/03/05 10:00

田中は順調な回復ぶりを見せたが、肘について何度も質問するメディアに苦笑する場面も。

田中は順調な回復ぶりを見せたが、肘について何度も質問するメディアに苦笑する場面も。

 周囲からの視線だけでなく、ユニホーム姿から漂う雰囲気が、昨年とは異なっていた。ヤンキース田中将大のメジャー2年目が、フロリダ州タンパでスタートした。キャンプ2日目にブルペン入りした際には、スプリットを含めた全球種を投げ分けるなど、昨年故障した右肘痛の不安を感じさせない姿を見せた。

「着実に前回よりも今日というふうに来ているので、順調なんじゃないかと思います」

 メジャー1年目の昨年は、「明と暗」の両面を経験した。メジャー投手史上5位となる7年総額1億5500万ドルの大型契約を結び、新人では最長タイとなる開幕から16試合連続でのクオリティースタートを達成するなど、快調な滑り出しを見せた。その一方で、7月上旬に右肘靱帯部分断裂が判明し、初選出されたオールスターも辞退。約2カ月の戦列離脱を余儀なくされた。その「明と暗」を、初めて異国の地で生活し、マウンドに立った田中は、次の段階へ進むための教材として受け止めていた。

「去年いろんな経験もして、そういうものを踏まえた状況は、去年とはまったく違う部分だと思います。チームや周りからの期待値は、もしかしたら上がっているかもしれないですが、自分の中でやることは変わらないです」

エース格の期待と、右肘の故障再発を懸念する声。

 田中の場合、1割未満と言われる部分断裂で、さらにPRPと呼ばれる再生療法を施したとはいえ、傷ついた靱帯は、手術をしない限り完治しないとの医学的な見解もある。ヤンキース首脳陣は、田中だけでなく、故障明けの左腕サバシアらへの負担を軽減するため、期間限定で先発6人制の導入を検討するなど、再発を懸念する声は、常に消えない。

 ただ、田中にすれば、立ち止まるわけにもいかない。今季はサバシアと並ぶエース格として計算される。そんな期待に矛盾するような右肘不安説と、田中のリラックスした表情のコントラストが、現在の置かれた立場を物語る。

「確かに、去年に比べれば余裕はありますが、余裕と緊張感を持つ、そのバランスが重要。余裕になりすぎないように、注意しながらやっていきたいです」

 期待と不安、余裕と緊張感。

 2年目のキーワードは表裏一体。それを誰よりも田中自身が自覚していた。

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