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新コミッショナーが唱える“ワン・ベースボール”とは。
~マンフレッド氏のMLB所信表明~ 

text by

四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byGetty Images

posted2015/02/28 10:30

労働問題専門の弁護士出身で、副会長に就任後は、労使協定をストライキなしで締結した。

労働問題専門の弁護士出身で、副会長に就任後は、労使協定をストライキなしで締結した。

 今季からMLBの第10代コミッショナーを務めるロブ・マンフレッド氏が、就任にあたり、ファンへの手紙を公表した。「Dear Fans(親愛なるファンへ)」で始まる手紙は、事実上の「所信表明」と言えるもので、同氏の基本理念と今後の方針を示す内容だった。

「我々の使命は明らかだ。次の世代に野球への愛情を伝えること。我々が祖父母や両親からされたように、我々の子供達にも伝えていくことだ」

 現時点で、具体策は明かされていないが、次世代への継承を最優先に掲げ、球界全体の一体感を示すうえで「ワン・ベースボール」と表現した。

 前任のバド・セリグ氏は、低迷期からの脱出に尽力した。1992年に実質的な最高責任者('98年に正式就任)となって以来、3地区制、地区シリーズを新設したほか、インターリーグ(交流戦)、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)、ビデオ判定を導入するなど、大胆なリーダーシップで次々と改革を進めた。その結果、各球団の経営状態は上向き、野球界全体の収益は大幅に増加した。

若年層のプレー環境整備など、アマとの交流を推進か。

 弁護士のマンフレッド氏は、'90年代からMLBの労使交渉など、法律のプロとしてセリグ氏を支えてきた。特に、ステロイドなどの薬物対策で力を発揮し、昨オフにはアレックス・ロドリゲスの公聴会を担当するなど、実務家としての能力が評価されてきた。

 今回の手紙には、「マニフェスト」は示されていない。その一方で、その後はオールスターの開催地の選出方法を「コンペ方式」にする私案を明かすなど、少しずつ独自色を出し始めている。また、野球人口の底辺を拡大するため、大学や高校、リトルリーグなどアマチュアとの緊密な交流を図るプログラムを推進していく考えなども明かした。具体的には、現在、コンプトン、シンシナティなど米国内4カ所にある「アーバン・ユース・アカデミー」の増設など、地域と密着する形で若年層のプレー環境を整備していくことになりそうだ。

 今季からマイナーで採用される試合時間のペースアップルールなど、今後、クリアすべき問題も少なくない。継承と改革の両面に取り組むマンフレッド氏は、どんな手法で米球界を「ワン・ベースボール」にまとめあげるのだろうか。

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