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新コミッショナーと妙な提言。
~MLBが極端な守備シフトを禁止?~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2015/02/21 10:35

新コミッショナーと妙な提言。~MLBが極端な守備シフトを禁止?~<Number Web> photograph by Getty Images

バド・セリグに代わってコミッショナーに就任したロブ・マンフレッド。弁護士出身で1980年代後半からMLBに携わり、98年に副会長に。労使協定や薬物問題に取り組み、昨年9月からCOOを務めていた。

 大リーグのコミッショナーが、バド・シーリグからロブ・マンフレッドに替わった。今年57歳という若さだから、健康面と手腕に問題がなければ長期政権も期待できそうだ。

 ただ、就任直後の発言が早くも物議を醸している。試合時間の短縮に積極的に乗り出したい、と発言したのはともかくとして、「極端なディフェンシヴ・シフト(守備隊形)を禁止したい」と提案したのだ。これには、あちこちから批判の声が上がっている。

 なるほど、守備シフトは明らかに増大の傾向にある。セイバーメトリクスの理論家ジョン・デュワンによると、2011年に布かれたシフトの回数が2357だったのに対して、2014年には概算1万3296回ものシフトが布かれている。4年間で約6倍という伸びは、急増と呼んでよいだろう。

左打ちのプルヒッターたちの打率が急落。

 シフトに苦しめられたのは、主に左打ちのプルヒッターだった。2013年に比べて'14年の打率が極端に落ちた例を挙げてみよう。

デヴィッド・オルティース:3割9厘→2割3分6厘
クリス・デイヴィス:2割8分6厘→1割9分6厘
ライアン・ハワード:2割6分6厘→2割2分3厘
秋信守:2割8分5厘→2割4分2厘

 ほかにもいるが、「引っ張り専門の打者」がシフトの網にかかりやすいことはいまや常識となっている。今季からカブスの監督になったジョー・マッドンなどは、レイズの監督時代、シフト戦術をしばしば用いた。同地区のレッドソックスやヤンキースが苦しめられていた姿は、いまも記憶に新しい。

 が、新コミッショナーのマンフレッドは、昨今の球界に顕著な「投高打低」の原因をここに求めたようだ。具体的には、《二塁の右にも左にも、3人以上の内野手を偏らせてはいけない》という提案。この規制に従うと、遊撃手(もしくは二塁手)はセカンドベースの真うしろまでしか移動できなくなる。外野手ひとりを動かして《内野手5人》の隊形を組むことも不可能になる。

【次ページ】 歴史を振り返ると、昨年の平均得点数は?

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