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J1復帰を目指すセレッソに黄信号!?
ユース組と移籍組の“溝”は埋まるか。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/02/18 10:40

J1復帰を目指すセレッソに黄信号!?ユース組と移籍組の“溝”は埋まるか。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

主力の多くが残留し、戦力的にはJ2で頭一つ抜けた存在のセレッソ大阪。昨年J1で優勝候補と言われながら降格を喫した問題点が解決されているとよいのだが。

攻撃はまだ発展途上だが……。

 攻撃では、「サイドチェンジを意識しろ」という指示が監督から出ていたせいか、前にスペースがあっても半ば強引にサイドチェンジしたり、そこからのアクションがないのでサイドチェンジだけで終わってしまうシーンが目についた。また、セレッソ本来のつなぐサッカーがあまり見られず、ロングカウンターを仕掛けるシーンが多かった。

「攻撃は連携面を含めて、まだまだですね」

 途中出場の玉田はそう苦笑したが、これから練習試合を重ねる中、前線の選手がフィックスされてコンビネーションを磨いていけば、セレッソらしい攻撃ができるはずなので、今のところはそれほど心配する必要がなさそうだ。

アギーレとは全く異なる攻撃的な4-3-3。

 おもしろかったのは、アンカーの役割と流動的なシステムだ。同じ4-3-3を使用していたアギーレ前代表監督は、アンカーがCBの間に入り、両SBを押し上げて最終ラインからビルドアップを展開していた。また、ボールが前線にある時にも中盤の底にステイして相手の攻撃の芽を摘むなど、攻撃よりもやや守備的な要素が強かった。

 だがアウトゥオリ監督のアンカーは、最終ラインに入ってビルドアップを展開することもなく、中盤の底で掃除役に撤する感じでもない。3枚のボランチは頻繁にポジションチェンジを繰り返し、攻撃の時はダブルボランチと1.5列目という陣形になることが多かった。型が明確なアギーレのシステムとは異なり、より柔軟性を持たせたシステムになっているので、今後の伸びしろに期待が持てそうだ。

「まだ、チームは始まったばかり。監督も戦術もメンバーもかわって、最初からすべてがうまくいくはずがない。これから練習試合と練習を積み重ねていけば、もっと良くなっていくと思う」

 キャプテンの山口は、今後に期待を込めてそう言った。

移籍組がレギュラー組に溶け込めていない懸念が。

 いろんな可能性が見える一方、不安な点も垣間見えた。

 まだキャンプ中にもかかわらず、レギュラー組と控え組が完全に分かれていたのだ。監督は「レギュラーと控えを分けていない」と言っていたが、ピッチ上では明確だった。シーズンが始まってしまえば序列が生まれるのはある程度致し方ないが、この時期は移籍組と既存組を混合させ、全員で競争させることが重要だ。

 そうした環境が選手を刺激し、チームに活気を生み出すのだが、競争もなくレギュラーが決められると選手のモチベーションに大きく影響する。キャンプでも全体的におとなしく、盛り上げていこうという空気がどこか稀薄なのは、こうしたヒエラルキーが出来てしまっているからだろう。

【次ページ】 戦力よりも大切な「一体感」。

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