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キズナとハープ、復帰の京都記念。
敗戦でも見られた、両頭の“らしさ”。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2015/02/16 11:20

キズナとハープ、復帰の京都記念。敗戦でも見られた、両頭の“らしさ”。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

最後の直線、キズナ(右)は外に持ち出し、ハープスター(右から2番目)は内に進路を取ったが、先行する2頭を抜き去ることはできなかった。

先行策をとったハープスターを襲う“異変”。

 藤岡佑介のスズカデヴィアスが先頭で1、2コーナーを回って行く。

「ペースを落としすぎず、差されたら差されたで仕方がないという感じで行きました」と藤岡。

 2馬身ほど後ろの外目に戸崎圭太のラブリーデイ、さらにレッドデイヴィスがつづき、ハギノハイブリッド、ヒラボクディープ、マイネルディーンらが形成する中団馬群にハープスターがつけている。

 いつも後方から直線一気の競馬をしていたハープが戦術を変えたのは、調教師である松田の「先に行けるようだったら行ってみろ」という指示によるものだった。

 手綱をとった川田も「ゲートをよく出てくれたし、今までで一番いい位置をスムーズにとることができました」と話している。しかし、もうひとつ「いつもどおりではないこと」が起きてしまった。川田は言う。

「終始、内に刺さりながら走っていました。こういう面は見せたことがなかったので、初めての競馬をした結果、そうなってしまったのかもしれません」

 向正面でもそのままの隊列で進み、ハープは先頭から6、7馬身後ろの中団、キズナはそこからさらに6、7馬身離れた後方2番手を進んでいる。

3コーナーを過ぎ、キズナもハープもスパートをかけるが……。

 1000m通過は1分1秒2。馬群が縦長になり、掛かっていた馬がいなかったことからもわかるように、超スローペースというわけではなかったが、淡々とした流れだった。

 3コーナーを過ぎると流れが速くなり、馬群が凝縮された。ハープスターも逃げるスズカデヴィアスとの差を詰め、抜け出す機をうかがっている。その後ろからキズナがグーンと加速し、直線に入ると大外から豪快に脚を伸ばした。

 ラスト200m地点手前でハープが内に切れ込み、馬の間からスパートをかける。

 それらをキズナが外からまとめて呑み込むように追い越し、ラスト100m地点では、逃げ込みをはかるスズカデヴィアスとラブリーデイを一気にかわすかに見えた――が、そこまでだった。

 先行しての叩き合いを制したのは、戸崎のラブリーデイだった。

「返し馬から雰囲気がよく、スタートもよく出て、リズムよく行けた。併せながら最後に出てくれたのは力があるからですね」と戸崎は語った。

【次ページ】 ハープ松田師「いつものパターンじゃないとアカンのかな」

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