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史上最年少優勝の鬼塚雅16歳。
新スノーボード女王は南国・熊本出身!? 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAFLO

posted2015/02/01 10:40

史上最年少優勝の鬼塚雅16歳。新スノーボード女王は南国・熊本出身!?<Number Web> photograph by AFLO

世界選手権で史上最年少優勝を果たした鬼塚雅。ソチではスキー連盟の派遣基準をクリアできず参加はならなかったが、すでに平昌五輪に目標を定めている。

熊本出身で、練習場までは片道2時間。

 鬼塚はもともとは熊本市の出身。ウインタースポーツとは距離がありそうだが、福岡市に室内練習場があったことが、今日の活躍へとつながることになった。

 5歳の頃から片道約2時間をかけて練習に通い、スノーボードに打ち込んでいった。

 その練習場は2009年に閉鎖されたが、翌年には飯塚市に別の練習場がオープンし、熊本市に住んだままで練習に取り組んできた。

 とはいえ練習場へのアクセスを考えれば、決して恵まれた環境とは言えない。それを乗り越えたのは、周囲も認めるスノーボードへの熱意と、努力があればこそ。通い始めた頃は特にコーチがついているわけでもなく、まわりの大人に教わりながら上達していったという。

 ただ、今回の世界選手権金メダルをもってただちに「世界一」と言うにはためらいがある。世界選手権と同じ時期にアメリカで「Xゲーム」が行なわれていたため、ソチ五輪金メダルのジェイミー・アンダーソンら一部の強豪選手は参加していなかったのだ。

 また、海外の選手と比べて158cmと小柄なだけに、スピードをつけて大きなジャンプを飛ぶには、もっとパワーを養っていく必要があるだろう。

 もちろん鬼塚自身、その自覚はある。昨シーズンが終わったころからは筋力の強化に努め、徐々にその手ごたえも感じ取ってきた。

世界のトップクラスは、ワールドカップの外にいる。

 さらに、海外選手の動向や実力を十分に把握していることも重要だ。

 日本の選手はトリノ五輪の頃まで、ワールドカップなどで活躍していても、オリンピックでは上位に入れないケースが相次いだ。ワールドカップや世界選手権よりもXゲームなどを優先する海外のトップクラスの選手の存在が、そのような状況を生んでいたのだ。

「もっと安定感をつけて、大会で優勝できるようになれば。平昌五輪でも金メダルが獲れたら、と思います」

 その言葉には、金メダルに浮かれることのない落ち着きがあった。

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