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柴崎岳がUAE戦後にもらした“本音”。
取材エリアを素通りしなかったわけ。 

text by

西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/01/26 11:55

柴崎岳がUAE戦後にもらした“本音”。取材エリアを素通りしなかったわけ。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

柴崎岳、22歳。今大会中には本田圭佑からFKを譲られるなど、若手ながら一目置かれる存在である。

「初めてベンチという立場を経験して、重要性もわかった」

――ベンチの選手がなかなか先発で出られなかった。そういう選手たちを代表して戦う意志はあったか?

「……それぞれが普段チームの中心としてプレーしている選手が多くいますし、もちろんベンチに甘んじて気分がいい選手なんていない。僕も、今回は非常に難しい時間を過ごした。でも終わってみれば、一ついい経験だったのかなと。

 最後は本当に総力戦という状態だったので。初めてこういうベンチという立場を経験して、その重要性もわかった。僕も含めてみんな良い準備をしていたと思います。みんな一丸となって、準備していたと思います」

――やっぱり、思った以上に試合に出られないのは難しい時間だった?

「そうですね。そんなに経験のないことでしたので。非常に“楽ではない”時間でした。こうやって僕は出場機会を与えてもらって、しっかりプレーすることはできたので、ほかの選手よりもある程度は救われている部分はあると思いますが」

 毎日、平然とした表情で我々の目の前を通り過ぎていた柴崎。しかしその心の中には、我慢、忍耐、押し殺していた感情があった。

 大阪で垣間見せた負けん気は、ここぞの場面で力になった。見た目以上に、非常に人間くさい熱を内包した若者に感じた。

「日本代表は、今はある程度我慢する時期」

 最後に、驚かされた発言があった。

 これは、柴崎が自発的に連ねていった言葉である。今回の敗退を受けて、彼が試合直後にもかかわらず、日本サッカー全体に対していかに危機感を持って物事を考えているかがわかる発言だった。

「僕は代表としてはまだ何も成し遂げていないので、これからの展望を話すのは難しいです。ただこの20何年間、日本代表はものすごいスピードで成長してきたと思いますけど、今はある程度我慢する時期に差し掛かっているのかなと考えたりもします。なかなかW杯でも結果が出なかったり、今回の大会でもベスト8で負けてしまった。非常に難しい時期なのかなと思います。

 選手個人が、自分のチームで個人能力を伸ばすことはやはり大切です。短い期間の代表合宿で、選手同士がプレーを合わせていくのは難しい。僕としては、代表というのはチーム作りがなかなか難しいものなんだなと感じています。その難しさもしっかりと経験にしながら、個人としては世界と戦うスタイル、力をつけていきたい。この大会を通じて、さらにそう思っています。

 全員が全員、同じ思いでいるかはわからない。個人としてもっと選手の力を伸ばして、その上で日本の良いところ、組織力だったりチーム全員がチームの為にという姿勢を打ち出してやっていかなくてはいけないと思っています」

【次ページ】 鹿島と代表、対照的な2つのチームで。

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