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イチローとマイアミの空。
~マーリンズ移籍で3000本安打は?~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2015/01/24 10:40

イチローとマイアミの空。~マーリンズ移籍で3000本安打は?~<Number Web> photograph by KYODO

2014年12月のイチロー杯争奪学童軟式野球大会で、少年たちを激励するイチロー。今オフも神戸で自主トレを行ない、キャンプインに備えている。

 イチローとマーリンズの交渉が具体的な詰めに入ったようだ。伝え聞くところによると、2年契約で「第4の外野手」という位置づけ。年俸はおそらく2年総額300~400万ドル前後で落ち着くものと見られている。もちろん、商談とは壊れやすいものだから、合意に至るかどうかは定かではない。

 ただ、今度の話は、細部に現実性がある。DH制のないナ・リーグという点に、私も最初は引っかかったが、よくよく考えると、それを上回るアドヴァンテージがいくつか見受けられる。なによりも、大リーグ通算3000本安打にあと156本と迫ったイチローにとって、「2年契約」というオファーが大きい。これは、マーリンズでの記録達成をあらかじめ視野に入れた条件といえるからだ。

(追記:このコラムが掲載された直後、イチローとマーリンズの1年契約が決まった。2年契約が実現しなかったのは残念だが、イチローもそのあたりは割り切っているだろう。今季だけで156安打以上の成績を残すのはさすがにむずかしいかもしれないが、年間100安打以上を放てば、来季以降の現役続行は十分に可能だからだ。とりあえずは、現況を分析し、イチローのコンディション作りに注目したいと思う)

 年俸に関しては、当人も代理人もそう気にしないだろう。イチローは大リーグだけで、すでに通算1億5000万ドル以上を稼ぎ出している。むしろ問題は、試合出場機会が多いか少ないかだ。極端にいえば、打席に立つ回数が多いか少ないかだ。2014年のイチローは、385回しか打席に立つことができなかった。これは、年間262安打の大記録を達成した2004年の762打席に比べると約半分の数字だ。それでも年間102安打には漕ぎ着けたのだから、その打撃能力はまだまだ落ちていないというべきだろう。

レギュラー3人以外は外野の層が薄い。

 大きなアドヴァンテージは、マーリンズ外野陣の層が薄いことだ。ナ・リーグ最高と呼ばれる才能をそろえていることはたしかだが、レギュラーは3人だけで、昨年第4の外野手として補強されたヴェテランのリード・ジョンソン('76年生まれ)は2割3分5厘しか打てずに、あっけなくチームを去ってしまった。とりあえず、マーリンズ外野陣の現状をおさらいしておこう。

 ライトには、2014年のナ・リーグ本塁打王ジャンカルロ・スタントンがいる。センターはマルセル・オズナ、レフトはクリスチャン・イエリッチ。

 3人は年齢が近い。スタントンが'89年11月生まれ、オズナが'90年11月生まれ、イエリッチが'91年12月生まれ。いずれも前途洋々の若者だが、裏を返せば、経験とメンタルヘルスの部分に一抹の不安が残る。

【次ページ】 3人のここまでの歩みは?

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