10人ものコーチを配置転換して、指示系統を円滑に。

　工藤はソフトバンクの監督就任会見で、「今の強さを継続できるようなチームを作る」といった趣旨の抱負を述べ、かつて語っていたような自分の意思もはっきりと表した。

　事実、工藤は監督となった直後から有言実行を貫いている。

　秋季キャンプを訪問した際には伸び悩む若手を細かくチェックし、新人合同自主トレではルーキー達とのコミュニケーションもしっかりと行なった。

　なにより顕著だったのが、コーチ陣の編成だ。

　一軍投手コーチの佐藤義則、吉井理人、外野守備走塁コーチの飯田哲也、三軍投手コーチの入来祐作など、ソフトバンクOBではない人材を数多く招聘し、既存の首脳陣も一軍から三軍まで10人も配置転換をした。工藤監督は、コーチの力量を見定め、指示系統が円滑に行なえる布陣を形成したのだ。

　準備は整いつつある。あとは、春季キャンプ、シーズンを通してチーム一丸となって頂点を目指すだけ、という段階に突入しているはずだ。

　工藤はかつて、こんなことも宣言していた。

「選手たちは辛いと思うけど、めちゃくちゃ厳しくすると思う。日本で一番厳しいチームって言われるかもしれないね」

　新たな指揮官はチームの改革に踏み切り、闘争心を植え付けていく。だからこそ、選手たちは王者という衣を一度脱ぎ捨て、サバイバルに身を投じなければならないのだ。