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21年ぶりの不祥事、禁止薬物検出の波紋。
~JRAと理化研の危うい関係性~ 

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片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/01/18 10:30

21年ぶりの不祥事、禁止薬物検出の波紋。~JRAと理化研の危うい関係性~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

12月10日に会見を開いたJRA。7日の中山6Rの払い戻しは、確定時のまま行なわれる。

 日本の競馬の公正は、公益財団法人競走馬理化学研究所によって保たれている一面がある。中央競馬および地方競馬に出走し、上位に入線した馬(JRAの場合は原則として1着から3着まで)には尿検査が義務付けられていて、採取された検体に禁止薬物が含まれていないかを厳正に検査、判定する役目を負っているのだ。

 また、騎手のドーピング検査(覚醒剤や大麻、利尿剤の使用の有無)や、馬の親子判定、個体識別検査を精度の高いDNA鑑定によって行なっているほか、競走馬用の医薬品や健康食品、添加物等の検査等も理化研の独占事業。競馬における、いわゆる不正行為を絶対に見逃さない態勢は、この公益財団法人の手に委ねられていると言っても過言ではない。

 12月7日の中山競馬6レース、2歳新馬戦で1着となったピンクブーケ(牝、美浦・小西一男厩舎)の検体から禁止薬物に指定されているカフェインが検出された事件。JRAでは'93年以来21年ぶりの不祥事となったのだが、このカフェイン摂取の経緯が徐々に見えてきて、波紋が広がっている。

トレセン内で販売された飼料添加物が原因では……。

 小西厩舎を捜索したところ、カフェインの原因物質があっさりと特定された。なんと、理化研の検査に合格してトレセン内で販売されている飼料添加物だったというのだ。

 禁止薬物が検出された時点で、JRAは即日千葉県船橋警察署に届け出て、この時点で競馬法違反の容疑は司直の判断に委ねられたわけだが、こうした事情を知れば「厩舎は悪くない。これで責任を取らされるのなら、理化研のお墨付きは何なのかということになる」という、内部からの声が大きくなるのもわかる。理化研による科学的な検査の信頼度の高さが薬物の不正を壊滅に追い込んだというのに、その理化研の検査を信頼して購入した添加物にカフェインが含有されていたとあっては、「やってられない」と拗ねる意見も当然と思えるからだ。

 この件は、競馬施行規程第128条によってピンクブーケの1着が取り消されて失格となり、賞金はすでに没収されている。その後の関係者の処分は司直の判断が出るまで保留されている状態だが、'93年当時に出た、調教停止3カ月のような重い処分となるか注目が集まる。

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