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外野手の地位向上はイチローの影響?
'80年代と現在で全く違う指名順位。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNaoya Sanuki

posted2015/01/16 10:30

外野手の地位向上はイチローの影響?'80年代と現在で全く違う指名順位。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

“ライパチ”に代表される外野手のイメージを、1994年以降のイチローが鮮やかに刷新した。昨年のドラフトで指名された外野手と、1980年代に成功した純粋な外野手は同数である。

外野手として指名され、成功したプロ選手の少なさ。

 たとえば'80年代を見てみよう。最初から外野手としてドラフトで指名され、その後プロで成功した選手は次の10人しかいない(私が考える野手の成功基準は500安打or1000試合出場以上)。

佐々木誠('83年南海)
鈴木貴久('84年近鉄)
大野久('84年阪神)
横田真之('84年ロッテ)
荒井幸雄('85年ヤクルト)
大道典良('87年南海)
平井光親('88年ロッテ)
中根仁('88年近鉄)
前田智徳('89年広島)
浅井樹('89年広島)

コンバート組の方が生え抜きの外野手よりも数が多い。

 10年間、プロ12球団の外野手が10人で回るわけがないので、他にも成功した外野手はいるが、彼らはドラフトで指名された当初は外野手ではなかった。他のポジションから外野にコンバートされた選手たちである。紹介しよう(カッコ内のポジションはコンバートされる前のポジション)。

金森栄治('81年西武/捕手)
西村徳文('81年ロッテ/内野手)
吉村禎章('81年巨人/一塁手)
彦野利勝('82年中日/内野手)
村上隆行('83年近鉄/内野手)
高橋智('84年阪急/投手)
飯田哲也('86年ヤクルト/捕手)
藤井康雄('86年阪急/一塁手)
緒方孝市('86年広島/内野手)
垣内哲也('88年西武/捕手)
新庄剛志('89年阪神/内野手)
井上一樹('89年中日/投手)

 '80年代、外野がいかに重要視されていなかったかという証明である。

 球場が狭かった時代、外野は守備力が今ほど問題にならなかった。肩が弱くても、守備範囲が狭くても、打てる選手ならOKという雰囲気で、たまに守備のうまい選手が出現すると「鉄砲肩」のような称号がついた。下手が普通で、うまい外野手が異端だった。

【次ページ】 狭い球場も、外野の守備負担を軽くしていた。

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