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<駅伝王者の座をかけて> 未来を決める監督の戦略。 ~駒大・大八木弘明&東洋大・酒井俊幸~ 

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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photograph byShunsuke Mizukami

posted2015/01/01 10:40

<駅伝王者の座をかけて> 未来を決める監督の戦略。 ~駒大・大八木弘明&東洋大・酒井俊幸~<Number Web> photograph by Shunsuke Mizukami
近年の大学駅伝をリードしてきた紫紺・駒大と鉄紺・東洋大。
強面と大声の叱咤激励で知られ、20年近くチームを率いる大八木。
爽やかな風貌と綿密な戦略で若手ながら知将の呼び声高い酒井。
年齢も18離れた好対照な2人だが、考え方が似ている点も多々ある。
指揮官の言葉からレースを予想する。

 下馬評では、頭ひとつ抜きんでている。

 来たる箱根駅伝に優勝候補の本命として臨む心境について訊ねると、駒大の大八木弘明監督は自信を隠そうとはしなかった。

「今年はずっと言ってきましたけど、勝負の年で、勝たなきゃならんと。2年かけて準備してきたので、勝ちたいという気持ちが選手だけでなく、私自身にもあります」

 自信の源にあるのは、2カ年計画で取り組んだ“選手の育成”が順調に進んだことだ。

 前回のチームから能力の高い窪田忍、油布郁人の2人が抜けたが、箱根駅伝の経験者は8人残った。いわゆる中堅どころが走力を伸ばし、エースの村山謙太は世代ナンバー1と言われるまでに成長。2枚看板の1人、中村匠吾も一時の不調を脱し、前哨戦となった全日本大学駅伝で4区区間賞を獲得するなど、隙のない戦力を擁している。

「ひと区間でもミスをしたところが負け」(大八木監督)

 強いですね――。率直に感想を述べると、監督はやや苦い笑みを浮かべた。

「全日本でこれ(1区からトップを一度も譲らない完勝)をやっちゃったから本命って言われちゃうけど、わからない、混戦ですよ。勢いのある青学、明治、早稲田も山の上り下りの経験者がいて層が厚い。そして、東洋。あそこは必ず、箱根に合わせてきます。ひと区間でもミスをしたところが負け。それは全日本も箱根も変わらないでしょうね」

 全日本を4連覇しながら、駒大の箱根駅伝総合優勝は2008年にまで遡る。翌'09年から優勝4回、準優勝2回と、ことごとく駒大の前を走ってきたのが東洋大だ。

 酒井俊幸監督率いる東洋大も前回のチームから設楽兄弟(啓太、悠太)ら主力を担った最上級生が多く抜けたが、3年生エースの服部勇馬を中心にやはり層は厚い。

 毎年、入学と卒業でめまぐるしく戦力が入れ替わる中、この5年間、両校は堅実に3位以内で襷をつないできた。前回も優勝と準優勝を分け合った宿敵―ともに福島出身の2人の指揮官は、いかにして「常勝」と呼ばれるチームを作りあげ、目前に迫る箱根路に挑もうとしているのか。

【次ページ】 駒澤は少数精鋭だからこそ選手全員を観察できる。

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