NumberEYESBACK NUMBER

W杯最年長優勝記録更新。“レジェンド”葛西の新境地。
~悪条件の風でも結果を出す秘訣~ 

text by

折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

PROFILE

photograph byAFLO

posted2014/12/19 10:10

W杯最年長優勝記録更新。“レジェンド”葛西の新境地。~悪条件の風でも結果を出す秘訣~<Number Web> photograph by AFLO

最終戦のプラニツァ(スロベニア)で「最長記録を出したい」と語る。

 W杯開幕早々に飛び込んできた葛西紀明の、W杯史上最年長優勝記録更新のニュース。現地のインタビューでも「ベリーサプライズ!」と口にしたように、42歳5カ月での優勝に一番驚いていたのは本人だった。

 ソチ五輪で銀メダルを獲得して、多忙だったオフシーズン。練習再開となった5月10日から約1カ月間の宮古島合宿でも、ほぼ毎日取材が入った。夏場は数十回の講演などもあって練習量は例年の半分以下に激減。シーズンイン直前には体重も2~3kgオーバーで「忙しくてトレーニングができなかった状態でW杯へ行くのは初めてだから不安もある。これでいい成績を出したらカッコいいだろうなという期待感もあるけど、ダメなら『アッ、やっぱり』という感じになりますね」と笑っていた。

 だがその反面「夏に飛んだ時は『体が重いから飛距離が出ないだけかな』という感じで、昨シーズンの感覚がまだ体の中に残っている。あのジャンプができれば世界に通用するのではと思っているから、どんな戦いになるか非常に興味を引かれます」と期待感も持っていた。

W杯個人初戦で不利な条件も、6位入賞が手応えに。

 その期待感に手応えを持てたのが、W杯個人初戦だった11月23日のクリンゲンタール(ドイツ)だ。前日の団体戦では3番手で飛んでグループ2位と3位のジャンプをしていた葛西は、1本目に弱い向かい風の中で133.5mを飛んで7位につけた。そして2本目は不利な追い風の条件でも134.5mまで距離を伸ばして6位に上げ、昨季の第2戦以来続けている10位以内を確保した。

 この大会が昨年のような強風で風向もクルクル変わるような条件ではなく、安定した風だったことも幸いした。気持ちを乱されることなく終えたことで、風の変化が激しい2戦目のルカ(フィンランド)にも落ち着いて臨めた。体重も絶食でキッチリと落としてベストの59.3kgに。2本とも風速が弱めの難しい条件だったが、2本目には2位の得点になる136.5mを飛んで3位へジャンプアップ。2位の伊東大貴とともに表彰台へ上がり、W杯最年長表彰台記録を更新。「風が悪くても上位に残れるし挽回できている。安定感が抜群」と自画自賛していた。

【次ページ】 全選手中最弱の向かい風にも関わらず優勝を掴んだ。

<< BACK 1 2 NEXT >>
1/2ページ
関連キーワード
葛西紀明

ページトップ