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ホッコータルマエが“砂の王”に!
初開催のGIで問われた適応力。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/12/08 11:20
ジャパンCダートでは2年連続3着、今年2月のフェブラリーSでも2着とあと一歩のところで勝ち星を逃していたホッコ―タルマエだったが、念願の中央GI初制覇となった。
スローペースの中、動き出したのは?
1000m通過は1分2秒3というスローペース。団子状態とまではいかないが、先頭から最後方まで10馬身ほどしかない。
ゆるい流れにしびれを切らすように上がってきたローマンレジェンドが、ハナを切るクリノスターオーと、やや後ろのホッコータルマエの外に並んでいる。
それら3頭のすぐ後ろに小牧太のナムラビクターがつけ、武豊のワンダーアキュート、蛯名正義のワイドバッハら追い込み勢は「定位置」の後方で脚を溜めている。
馬群を引っ張るクリノスターオー、ホッコータルマエ、そしてローマンレジェンドの3頭が馬体を併せたまま直線に入った。
ゴールまで残り400mを切ったところで、坂を上りながらホッコータルマエが体半分ほど抜け出した。が、外のローマンレジェンドがしぶとく食い下がる。
ラスト200m。ホッコータルマエがローマンレジェンドを競り落とし、一気に突き放すかと思われたそのとき、ローマンの外からナムラビクターが鋭く伸びてきた。
しかし、ホッコータルマエは幸の右鞭に応えてもうひと伸びし、先頭のままゴールを駆け抜けた。勝ちタイムは1分51秒0。
2着のナムラビクターとは半馬身差だったが、危なげない勝利だった。3着はローマンレジェンド、4着は紅一点のサンビスタ、ともに上がり3ハロン35秒台の脚で追い込んできたワンダーアキュートとワイドバッハは、それぞれ5、6着だった。コパノリッキーは伸びを欠いて12着、インペラティヴはいいところなく15着に終わった。
幸「やっと中央のGIを勝たせてやることができました」
「やっと中央のGIを勝たせてやることができました」と幸が語ったように、これがホッコータルマエにとってJRA・GI初制覇だった。先述したように、重賞を9勝、うち交流GIを5勝していたが、昨年、一昨年のこのレース(ジャパンカップダート)では3着、今年のフェブラリーステークスでは2着と、中央の栄冠にはあと一歩のところで足踏みしていた。
昨年のジャパンカップダートのレース週に矢部幸一オーナーが亡くなっていた。その1年後、忘れ物となっていた追悼勝利を挙げることができたわけだが、来春は、今年16着と大敗し、もうひとつの忘れ物となっているドバイワールドカップへの参戦を視野に入れているようだ。