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<2人の通訳の助言> フローラン・ダバディ×千田善 「矢野大輔よ、モウリーニョになれ」 

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photograph byTakashi Shimizu

posted2014/12/05 11:30

<2人の通訳の助言> フローラン・ダバディ×千田善 「矢野大輔よ、モウリーニョになれ」<Number Web> photograph by Takashi Shimizu
日本代表通訳就任からザックジャパン解散まで。
1397日にわたって19冊のノートに綴られた記録を
一冊の本にまとめた『通訳日記』(矢野大輔著)。

矢野氏の文章を読み解くのに、この2人以上の適役はいないだろう。
監督と共に情熱的に言葉を紡いできた男、
指揮官の意図を巧みに伝えてきた男。
同じ仕事に従事した者だからこそ分かる、日記に隠された背景とは――。

 フィリップ・トルシエ監督の通訳を務めたフローラン・ダバディ氏、イビチャ・オシム監督の通訳を務めた千田善氏。2人の日本代表経験者が、当時の経験を元に“日記”の裏側にある通訳の苦労を語り合った。

ダバディ氏も千田氏も、日記をつける余裕はなかった。

ダバディ   日記を読んで一番驚いたのは、矢野大輔さんがその日にあった監督や選手たちの会話の内容を詳細に覚えていることでした。

千田   僕の場合、通訳をした後は本当にクタクタで、もちろんキーワードや数字は書くけど、日記をつける余裕なんてなかった。

ダバディ   私は本業が『プレミア』の編集者だったから、編集長が「絶対にメモを取れよ」って言っていたけど、全然無理でした。

千田   僕もオシム監督の代表での活動や発言を記録した本を出しましたが、それは半分同時進行だったんです。通訳をしてる最中に出版社の月刊の冊子に2ページ程度の連載を書いていて、それをまとめたんです。オシムさんが倒れられて連載は中止になったから、後から書き足しはしましたが。

ザックの通訳は自分じゃなきゃ、という思いを感じる。

ダバディ   私も本は出したけど、メモはなかったので、インタビュー形式のものになりました。日記でザックさんが矢野さんに「モウリーニョになれ」と言う場面がありましたが、そういった野望なり、心が相当動かされないと、毎日のように日記を書けないですよね。

千田   矢野さんからは、ザックさんの通訳は自分じゃなきゃ駄目だという強い思いが見て取れる。僕はオシムさんの就任会見はテレビで見ていて、自分が通訳をするなんて思ってもみなかったな。

ダバディ   私にジャーナリストの友人から通訳の仕事の話が来た時は、8~9割ないだろうと思いながら応募した。でも矢野さんは最初から自分以上に相応しい人間はいないと思っているのが伝わってくる。その情熱が凄い。

【次ページ】 「通訳日記」を読んで感じたザックとオシムの違い。

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