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キングス再生を誓い、改心した悪童カズンズ。
~バスケW杯優勝で学んだ犠牲心~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2014/11/30 10:30

カズンズを柱にチームは8年ぶりの5連勝も記録。弱小の“ドアマット”の汚名返上なるか。

カズンズを柱にチームは8年ぶりの5連勝も記録。弱小の“ドアマット”の汚名返上なるか。

 開幕からの序盤戦、夏のバスケW杯に出場していた若手選手たちの成長が目立つ。中でも大きく変貌したのがサクラメント・キングスのデマーカス・カズンズだ。同じ米代表組のクレイ・トンプソン(ウォリアーズ)やアンソニー・デイビス(ペリカンズ)の場合は成長が加速した状態だが、カズンズはまさに“変貌”。リーグの問題児として多くの人から見離されていた彼が、勝者のメンタリティを理解する選手に変わったのだ。

 もともと、素質は誰にも負けないものを持っていた。サイズやパワーがあり、その割に器用で、柔らかいタッチのシュート力やフットワークも備えている。その一方で精神的に切れやすく、メンタル面から崩れることが多かった。審判や世間、時には自チームのコーチやチームメイトまでも敵に回して戦っているかのようだった。いつも何かに怒っていて、それを報じるメディアに対しても事実を曲げて伝えたと、また怒った。悪循環だ。

代表での「チームのために」戦う姿勢をキングスでも。

 そんな彼に、今年夏のアメリカ代表入りの機会が巡ってきた。実は、2年前にアメリカ代表のジェリー・コランジェロ責任者から「もっと精神的に大人にならないと代表に選ぶのは難しい」と厳しい指摘を受けていたのだが、そんな声に対して、今回カズンズが見せたのは、与えられた役割に徹し、勝利のために努力する姿勢だった。控えから出場してインサイドを守るという地味な裏方の役割を受け入れ、アメリカの優勝に貢献した。

「自分のできることを見せるのではなく、チーム全体の計画を理解することが大事だった」と話す言葉に成長を感じる。

 カズンズがアメリカ代表入りにこだわった理由のひとつは、経験をキングスに持ち帰り、チームメイトとともにキングスを変えたかったからだという。アメリカ代表で学んだことについて、「最高の才能が集まったチームで、全員が自分のプレーを犠牲にしてでもチームのために戦おうとしていた」と語る。

 今季はキングスでも自ら率先してディフェンスの柱としての役割を買って出て、リーダーとしての自覚も口にするようになった。むやみに怒らなくもなった。そして、その姿勢が6勝4敗の好スタートに反映されている。カズンズは言う。

「前と同じ状態で留まりたくない。前に進み、成長し続けたいんだ」

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