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G大阪が変身した「大人のチーム」。
浦和にかかる重圧と、3冠の可能性。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2014/11/26 10:40

G大阪が変身した「大人のチーム」。浦和にかかる重圧と、3冠の可能性。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

遠藤保仁は現在34歳。しかし復帰した日本代表でも圧倒的な存在感を発揮し、あらためて「替えのきかなさ」を証明した。J1昇格初年度優勝を成し遂げることができるか。

交代選手が点を取る、理想的なムード。

 そして、長谷川監督の選手起用が的中しているのも「強さ」の一因だ。ナビスコ杯決勝でも、明神智和に代えて起用した大森晃太郎が決勝点となる3点目を決めた。浦和戦も2本のゴールを決めたのは、途中出場の佐藤であり、倉田秋だった。ふたりは開幕からW杯中断前まではレギュラーだった。だが、宇佐美貴史がケガから復帰し、7月にパトリックが入ると指定席を失った選手たちだ。

「悔しいし、イライラすることもあった」

 倉田は自身の境遇をそう語っていたが、悔しさをピッチにぶつけるように活躍した。

「途中から入った選手が流れを変えたり、決定的な仕事をしてくれるのはチームの強さだと思う」

 遠藤もそう語るように、交代選手が活躍し、ヒーローが生まれているのはチームが波に乗っている証拠だ。

 G大阪の「強さ」は他にも岩下敬輔を軸とした守備が安定したことや、ブラジルW杯後に今野のパフォーマンスが戻り、中盤が機能するようになったことがある。加えて、パトリックと宇佐美がもたらした得点力アップも大きかった。

勝ち点への執着を生んだ、降格、J2の経験。

 W杯中断後のリーグ戦は14勝2敗2分けと絶好調。連敗はもちろんない。とはいえ、すべてがいい試合だったかというと、そうではない。ナビスコ杯決勝のような血が沸き立つような試合があれば、川崎戦(10/18)、仙台戦(11/2)、浦和戦のように内容的には決して満足できない試合もある。だが、そういう試合でも負けないことが大事だと今野は言う。

「優勝するチームというのは鹿島がそうだったように、内容が悪い試合でもしっかり勝ち点3を挙げられる。1年通していい試合ばかりできるわけがないんで、内容が悪くても負けないというのが優勝の条件なんです」

 負けないこと、そして勝ち点1を大事に考えているのは、J2降格の経験が生きているからだ。降格となった2012年、選手たちは勝ち点1の重みを嫌というほど味わった。J2では内容はもちろん勝ち点にこだわり、勝ち点を取る強さを身に付けてきた。そうした経験が血肉となり、今のG大阪を形成している。“なんとなく”首位争いを演じているわけではないのだ。

【次ページ】 勝ち点差は2。優勝の行方は?

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