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アメリカGPで起きたボイコット騒動。
いまF1に求められる“自戒”とは。 

text by

尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images

posted2014/11/09 10:40

アメリカGPで起きたボイコット騒動。いまF1に求められる“自戒”とは。<Number Web> photograph by Getty Images

アメリカGPではハミルトンが5連勝で今季10勝目を挙げた。ロズベルグが2位に入り、メルセデスのワンツーフィニッシュは今季10回目を記録。

聞こえてくるのは、自分の都合ばかり……。

 もちろん、小規模チームにも修正しなければならない点はあるだろう。なにしろ、コンコルド協定にサインしたのは彼らである。このような事態になる前に話し合うことはできたはずである。

 これと同じようなことは、現在なされているパワーユニットの開発凍結解除をめぐる議論についても言える。開発凍結とは、今シーズン新しく導入されたパワーユニットの開発に制限を掛けることで、コストを抑制することが目的だった。それによって下位チームにもチャンスが生まれる。

 ところが、蓋を開けてみればシーズンはメルセデスの独壇場となり、ルノーとフェラーリはエンジンの開発を再開するため、レギュレーションを変更してほしいという要求を出した。しかし、開発凍結を見込んで、凍結以前にパワーユニットに巨額の開発費を投じていたメルセデスがこれに反対。自分たちのアドバンテージが失われかねないのはもちろんだが、コスト削減という本楽の目的が失われてしまうからである。

 コンコルド協定の分配金の件も、パワーユニットの開発凍結解除にしても、聞こえてくるのは、みな自分に都合のいい話ばかり。ファンの存在が置き去りになってはいないだろうか。大局に立ってF1の未来を語ろうとしてこなかった事実が、いまの人気低下の原因ではないか。

「予算が減ろうが、開発凍結が解除されようが、それでF1が面白くなりファンが喜ぶなら、やればいいじゃないか」

 本田宗一郎なら、きっとそう言うだろう。

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