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日本シリーズに必要な“継投力”。
阪神の「呉昇桓の前」はつながるか。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/10/24 16:30

日本シリーズに必要な“継投力”。阪神の「呉昇桓の前」はつながるか。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

シーズンの防御率1.76、39セーブと圧倒的な成績を残した呉昇桓。その前を担う中継ぎ、セットアッパーの役目は重大だ。

ソフトバンクの中軸に並ぶ右打者対策は?

 この呉につなぐセットアッパーがベテラン右腕の福原忍投手だが、キーマンとして指名したいのは、あえてこの福原ではなく右の安藤優也、松田遼馬両投手と左の高宮和也投手の中継ぎ投手陣である。

 おそらく阪神の勝ちパターン継投は、先発が6回ぐらいまで踏ん張って、6回途中か、あるいは7回頭からリリーフ陣につないでいくことになるはずだ。

 この継投のポイントとして、ソフトバンク打線の主軸に右打者が多いことが挙げられる。内川聖一外野手、李大浩、松田宣浩、吉村裕基、今宮健太各内野手と、ヘタをすれば中軸にずらりと右が並ぶこともある。となると先発投手が崩れて継投に入る最初の投手は、右の安藤か松田から。そうして走者の状況を見ながら左の柳田悠岐、中村晃両外野手に対してワンポイントで高宮を挟んで、再び残っている右投手へと継投する。そのためにはどうしても右の2人と投手と高宮が機能しなければならないということだ。

 この3人がきちっと働ければ、そのまま8回を乗り切ってもいいし、8回からはセットアッパーの福原に繋ぐこともできる。

 そうして何より7回までを凌げれば、もし8回にピンチを招いても、回またぎで切り札の呉投入という絶対的パターンに持ち込むことができる。

短期決戦は、7回以降のゲームプランが勝負を分ける。

 巨人とのファイナルステージでは、この終盤の継投が成功したことが一つの勝因だった。かつては山口鉄也、西村健太朗、S・マシソン各投手という絶対的リリーフ陣で他チームを圧倒してきた巨人が、終盤のリレーに翳りが見えてゲームプランが立たなくなった。

 逆にそこをきちんとつなげるようになった阪神が、ファイナルステージでは圧勝したわけである。

 短期決戦では7回以降のゲームプランが勝負を分ける。そこを担う投手の質と量が、シリーズの行方を左右すると言っても過言ではない。

 呉という絶対守護神がいる阪神にはそこに強みがある。呉を投入できるパターンに持ち込めれば、それはシリーズの勝利を意味するということだ。

 だからこそ、呉を使うことができない6回から7回を、逆算していかに継投で凌ぐか。それが和田采配の一番のポイントになるわけである。

 つまり、安藤、松田、高宮という中継ぎの出来がシリーズの行方を左右するのだ。

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