ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER

EURO予選1勝1分け1敗の“出遅れ”。
世界王者ドイツが抱える2つの難題。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

PROFILE

photograph byAFLO

posted2014/10/22 16:30

EURO予選1勝1分け1敗の“出遅れ”。世界王者ドイツが抱える2つの難題。<Number Web> photograph by AFLO

ポーランドに初めての敗戦を喫したドイツ。わずか3カ月前に世界の頂点に立ったドイツの覇権は、早くも去ってしまうのか。

エジルらの負傷離脱にベテランの代表引退が重なる。

 最大の要因と言えるのが怪我人の多さだ。

 W杯が終わって以降、チームはベストメンバーを組むことが出来ていない。ブラジルW杯のレギュラークラスの選手のうち、シュバインシュタイガー、ケディラ、ヘベデスに加え、怪我でW杯には出られなかったものの、ベストフォームであればスタメンを張ると見られているロイスも戦列を離れている。

 また中盤のキーマンであるエジルは、今回の2試合のために招集されたもののポーランド戦の前に左ひざを痛めてしまい、しばらくプレーすることが出来なくなった。ラーム、メルテザッカー、クローゼの3人が先のW杯の後に代表引退を決めたことも、怪我人が続出している現状に重くのしかかっている。

 特に苦しくなったのが、サイドバックの人選だ。

 ブラジルW杯での決勝では右サイドバックをラームが、左サイドバックをヘベデスが務めていた。一方で今月の2試合では右サイドバックにシュツットガルトのルディガーが、左サイドバックにはドルトムントのドゥルムが入ったが、いずれも満足とは程遠いパフォーマンスに終始した。攻撃では迫力とプレー精度を、守備では強さと安定感を欠いていた。

 ポーランド戦の2失点とアイルランド戦の1失点がいずれも、クロスから喫したものであるのは、彼らのパフォーマンスと無縁ではないだろう。

放ったシュートは計77本も、わずか3ゴールのみ。

 そして、現在のドイツを苦しめているのが、極度の決定力不足だ。ここまでの予選3試合のデータを見てみると、驚かずにはいられない。

 3試合でドイツが放ったシュートは計77本。にもかかわらず、わずか3ゴールしか決めていないのだ。ちなみに、3試合でドイツが許したシュートは7本に過ぎないのに、4失点を喫している。

 先のポーランド戦では計10回の決定機を手にしたのに一度もゴールネットを揺らせなかった。続くアイルランド戦では7度の決定機をフイにしており、決まったのはクロースの難易度の高いミドルシュートによるゴールだけだった。

 流れの中でも、先のW杯で見せたようにセットプレーからでも、ドイツは多くのチャンスを作り出している。だが、ゴールが遠い。決定機を得ながら、それをものにすることが出来ないまま時間が過ぎているうちに、相手にゴールを奪われて勝利をつかめない試合が続いているのだ。

【次ページ】 「ホントに、ホントに腹立たしいよ!」(ゲッツェ)

BACK 1 2 3 4 NEXT
ヨアヒム・レーブ

海外サッカーの前後の記事

ページトップ