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凱旋門賞で日本勢を苦しめた“ラビット”。
~ペースメーカーという戦略性~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byTomoki Momozono

posted2014/10/19 10:30

凱旋門賞で日本勢を苦しめた“ラビット”。~ペースメーカーという戦略性~<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

1978年以来、史上6頭目となる凱旋門賞連覇を達成した女王トレヴ。レース翌日に引退表明。

 ヨーロッパの競馬にあって日本の競馬にないもの。その一つに「ラビット」と呼ばれるペースメーカーの存在がある。ドッグレースで、ゲートが開く寸前に競走犬の前をすっ飛んで行く機械仕掛けのウサギのぬいぐるみが語源。犬たちはその動きに狩猟本能をかき立てられ、全力で走るという仕掛けだ。

 競馬の場合のラビットはあくまでも先導の役割。草食動物であるウマにウサギを襲う習性はなく、差し脚を生かしたい主役馬の展開の助けになるように、ちょうどいいペースでレースの流れを作るのが出走の目的なのだ。ラビットの存在は重要で、別の陣営もそれを仕立て、ときにはラビット同士の主導権争いが展開されることもある。欧州に拠点を置いて活躍していた当時の武豊騎手がラビットへの騎乗を依頼され、「意外に難しいミッション。別の意味で緊張した」と述懐していることでも、欧州競馬におけるその意義と価値の重さがわかる。

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