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凱旋門賞、フランスのトレヴが連覇。
6着が最高の日本勢、完敗の内実。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2014/10/06 11:30

凱旋門賞、フランスのトレヴが連覇。6着が最高の日本勢、完敗の内実。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

好位でレースを進め、36年ぶりの凱旋門賞連覇をなしとげたトレヴ(左)。4歳になってもその底力は健在だった。

しかし意義深かった、今回の遠征。

 しかし、今回のチームジャパン3頭の遠征の意義は大きかった。

 初めて3歳牝馬が参戦した。初めて札幌記念をステップレースにして臨んだ。そして、あえて現地での滞在期間を短くした。

 そうしたチャレンジにより、この結果が導き出された。

 「完敗」と記したばかりで矛盾したことを言うようだが、「大敗」ではなかった。ハープスターはトレヴに4馬身半ほどの差をつけられてしまったが、去年の凱旋門賞では、あのオルフェーヴルでさえトレヴに5馬身差をつけられ、キズナはそこからさらに2馬身強遅れたのだ。

 ハープスター級の3歳牝馬なら充分勝負になることがわかった。

 そして、ロンシャンの特殊な馬場を考えると、やはり現地で前哨戦を使ったほうがいいのかもしれないが、使い減りするタイプの場合、札幌記念を使って渡仏というパターンは、けっして悪くないこともわかった。

 間違いなく、チームジャパンの「共有財産」がまた増えた。

つねに「怪物」が出てくる凱旋門賞の奥深さ。

 それにしても――。

 トレヴの強さには驚いた。オルフェをブッちぎった去年も呆気にとられたが、今年は3戦して2、3、4着と未勝利で、完全に心身のリズムを崩していたのだが、見事に立ち直り、58kgを背負ってあの強さ。ああいう馬が出てくるのが凱旋門賞だ、ということを覚えておきたい。

 来年は、キズナのほか、ワンアンドオンリーも参戦する可能性があるようだ。

 歴史的瞬間が先送りされたぶん、夢を見られる時間が長くなった。これからも、チームジャパンのチャレンジを見守りつづけたい。

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