野球善哉BACK NUMBER
ペーニャの激怒が暗示していた結末。
オリックス、SBとの差は走塁意識?
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/10/07 10:30
30本を超える本塁打を放ったペーニャだが、実は盗塁も決めている。単純な走力は低いが「一つでも先の塁を」という意識はとても高い選手だ。
駿太「突っかかって、一度僕の足が止まった」
駿太は、この場面をこう回想している。
「あの場面は自分のミスでした。実はスタートを切る時にタイミングが合わなくて、ちょっと足が突っかかって、一度僕の足は止まっているんです。それがなければ、あんなに余裕でアウトになることはなかったと思います。(ヒットを打った)平野さんに申し訳ないことをしたなと思っています」
この時の判断は、三塁コーチャーの真喜志康永によるものだ。
真喜志コーチにも尋ねた。
「あの判断は私がしました。このプレーに限らず、どんな場面でも走者が本塁でアウトになったら、その時はすべて三塁コーチャーの責任です。駿太は、そんなことをいっていましたか。ただ、駿太の足が一瞬、止まっていたことには気づきませんでした」
走る選手とそれを指示したコーチの連係ミスは、競った試合では命取りになる。
敗因は打たれたクローザーだけではない。
2つ目のシーンは4回表。
オリックスは糸井嘉男の本塁打で同点に追いついた後、2死一、三塁と攻めると、駿太の右翼線二塁打で勝ち越しに成功した。しかし、この時の一塁走者・坂口智隆は、2死からの長打であるにもかかわらず、本塁に生還することができなかった。この時のタイムは取れなかったが、アウトカウント、打球方向、一塁走者が俊足の坂口であることを考えると、もう1点が欲しかった場面だった。
先述したように、この試合は1点差で9回裏を迎え、オリックスは逆転負けを喫した。打たれたクローザーの平野佳寿が戦犯のごとく記者から囲まれていたが、敗因はそこだけにはないというのが、筆者の感想だった。
投手陣の継投をストロングポイントにして戦ってきたチームであっても、終盤戦になれば投手陣に疲れが出るのは当然のことだ。だからこそ、1点でも多く取れる時に取っておくべきなのである。