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セナ、琢磨、マンセル、可夢偉……。
鈴鹿はヒーローを生み出す夢の舞台。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byAFLO

posted2014/10/03 10:40

セナ、琢磨、マンセル、可夢偉……。鈴鹿はヒーローを生み出す夢の舞台。<Number Web> photograph by AFLO

小林可夢偉とナイジェル・マンセル。イギリスGPの前に会った2人の「鈴鹿の英雄」は、どんな会話を交わしたのだろうか。

「鈴鹿での1週間は一年でもっとも興奮する日々だ。なぜなら、そこでは常に最高のドラマが演じられてきたから」

 前戦シンガポールGPが終了した直後、あるチーム関係者はそう言って日本GPでの再会を楽しみに、ヨーロッパへと帰国した。

 確かに日本GPでは、これまで多くの感動が生まれてきた。そのひとつの系譜が、雌雄を決する戦いの歴史である。鈴鹿で日本GPが初めて行なわれた'87年から、F1のチャンピオンは5年連続で鈴鹿で決定している。それ以降も'96年、'98年、'99年、2000年、'03年、'11年と日本GPはタイトル決定戦の舞台となってきた。

 その理由として、日本GPがシーズン終盤に組み込まれていることはもちろん無視できない。そしてそれとともに、鈴鹿はドライバーにとって、真の腕を試される難易度の高いサーキットであることを忘れてはならない。

 日本GPが富士から鈴鹿に帰ってきた'09年以降、日本GPの後に新規グランプリが続々と名を連ね、鈴鹿でタイトルが決定することこそ減ってきたが、それでも鈴鹿を制してきた者は、その年もっとも速いドライバーであったり、タイトル争いを繰り広げてきた強者であったことが、その事実を如実に物語っている。

今年の優勝候補は、メルセデスの2人。

 その鈴鹿で今年、優勝候補の筆頭に目されているのが、メルセデスAMGの2人、ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグだ。今シーズン、熾烈なタイトル争いを繰り広げている2人だが、不思議なことに鈴鹿では、まだ栄光を手にしたことがない。わずか3点差で鈴鹿に乗り込む2人の戦いは、日本GPでは決着はつかないが、真の王者として認められるためにも、鈴鹿での勝利は是が非でも欲しいところ。特にハミルトンは、現役の王者経験者の中で唯一鈴鹿での優勝経験がないだけに、鈴鹿への特別な思いを次のように語る。

「鈴鹿はF1のカレンダーの中で一番好きなレースだし、おそらく世界でも最高のサーキットのひとつだ。ドライバーとしてここを走る楽しみがあるだけでなく、ここでは多くの素晴らしい歴史も刻まれているから、観客としても最高の舞台のひとつだろう。アイルトン・セナとアラン・プロストのバトルはいまでも忘れられない。

 だけど、僕はこのサーキットではまだ勝ったことがない。初めて走った'09年に表彰台に上がっただけだ。今年こそ、本当に表彰台の頂点に立ちたい」

【次ページ】 スタンド総立ちの「カムイ・コール」は忘れられない。

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