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虎、“下剋上”の鍵は福留孝介の経験値。
~CSでの名誉挽回に懸ける~ 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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posted2014/10/03 10:00

虎、“下剋上”の鍵は福留孝介の経験値。~CSでの名誉挽回に懸ける~<Number Web> photograph by KYODO

9月19日には日本球界復帰後初となる猛打賞を記録するなど、ここに来て復調気配の福留。

 連敗を止められず、CS進出が危うくなりかけた夏の終わり。タイガースは9月12日からのカープとの3連戦に、今シーズンの命運を懸けていた。藤浪晋太郎で勝ち、17失点の大敗を喫して、1勝1敗で迎えた3戦目。勝負を決めたのは37歳、福留孝介のバットだった。

 0対0の7回裏。マウンドには2番手の中田廉が上がる。ワンアウトから福留がバッターボックスに入った。その初球、福留がいきなりバントの構えを見せる。その狙いを、彼はこう説明した。

「あの場面は、どうにかして試合を動かさなきゃいけない。そのために何かを仕掛けて揺さぶろうと思ったし、バントの構えをすることによって、相手の守備位置が変わってくるでしょ。何かを動かすと、固まってた試合って動くんだよね」

 福留が中田を揺さぶった。すると、今度は中田が逆に仕掛けてくる。そのちょっとした“小細工”によって、福留は狙い球を絞ることができたのだという。

「バントの構えをした初球がシュート、2球目はスライダーで、ボール、ボール。ツーボールからの3球目、ここでピッチャーがシュートをクイックで投げてきた。ということは、もうクイックはないし、次はまっすぐしか来ない。そう思って、一本に絞って待っていたんだけど……」

CSで巨人を倒す可能性は「十分、あるでしょ」

 福留の読み通り、4球目、インコースを狙った中田のストレートが甘く入る。福留のバットが一閃、打球はライトスタンドへ突き刺さった。この時点で打率.226、ホームラン5本と不本意な数字が残っていたメジャー帰りの福留が、タイガースを救う一発を放ったのである。

「メジャーでは、できるだけ間を取らない、コンパクトなスイングをしないといけなかったんだけど、その打ち方だと日本では時間が余ってしまう。戻ってきてから、ちょうどいい間の取り方を探すのに苦労してるっていうのはあったかな」

 試行錯誤の最中でも、接戦になれば発揮する勝負強さは、彼の経験値の高さが生み出すものだ。今のタイガースにジャイアンツを倒す可能性を感じるか、と訊くと、百戦錬磨の福留はこう即答した。

「十分、あるでしょ。今の若い選手を見てると、ビビったり、小さくなることもあるけど、経験が少ないからこそ、思い切ってできることもある。その部分(経験)は僕らが補えばいいんだから……」

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