女三代フルマラソンに挑むBACK NUMBER

初のマラソン大会は、山あり谷あり。
口論と自信を生んだ「皇居2周」。 

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中島彩

中島彩Aya Nakajima

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photograph byAsami Enomoto

posted2014/10/02 10:30

初のマラソン大会は、山あり谷あり。口論と自信を生んだ「皇居2周」。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

皇居に作られたランニングコースを、多くのランナーとともに走る。大会初体験は、山あり谷あり?

ペースの違いで祖母と母が喧嘩!?

 レースも中盤に入ると、母は祖母の走りのペースに疲れたのか、歩いたり止まったりと自由気ままに並走していました。祖母は1km約9分のペースですから、確かに早歩きでも追いつけるスピードなのです。

 そんな母に祖母が「ほんなら、ちえちゃん(母)、先いきー!」と言うと、母も「そんなんしたら、一緒に走ってる意味ないやないの」と返します。「でも大会やのに、歩いたら意味ないやないの!」と祖母。そして「これだって歩いているようなもんやないの」と母。

 私にとってもかなり遅めのペースではありましたが、ここが我慢のしどころ。祖母だって、カナリ頑張っているはずなのです。その後も走りながら軽くバトルが続きましたが、険悪な雰囲気を和ませてくれたのは、一緒に走るランナーでした。

 一緒に皇居を走っていた外国人の男性が私たちを追い抜きがてら「グッジョブ!」と声をかけてくれたのです。それを聞いて私たちも「せっかくだから仲良く走ろう!」と思いなおし、また3人で走りだしました。

「フルマラソンは走れる」という祖母の自信。

 ケンカしたり、仲直りしたりしながら、アッと言う間に皇居を2周。心配したようなトラブルもなく、無事ゴールすることができました。祖母は、10kmのレース中一度も歩くことなく、最初から最後まで走り切ることができました。本人も「これで自信になったわ!」と満足げ。記録も10kmを1時間25分とまずまずで、初レースにしては合格点です。

 この自信がきっかけになったのか、祖母はレース後に大きな決意をしました。それは、カミングアウト。実は祖母は、今回の出場を夫である祖父にきちんと話していませんでした。「42.195kmも自分が走れるのか分からない」という不安から、「大阪マラソンへの出走」について周りの人に内緒にしていたのです。

「皆に話してみるわ~」と、どうやら本人もフルマラソンを走る自信がでてきたようです。「本番は今日の4倍あるのに……」とも思いましたが、自信がつくのはいいことですよね。カミングアウト、果たしてうまくいくのでしょうか。

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中島彩

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