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悔恨と覚悟で成し遂げた、黒田の5年連続2ケタ勝利。
~先発ローテを守り続ける尊さ~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2014/09/24 10:00

悔恨と覚悟で成し遂げた、黒田の5年連続2ケタ勝利。~先発ローテを守り続ける尊さ~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

黒田は本拠地でのレッドソックス戦に先発し、7回1失点8奪三振の快投で10勝目を挙げた。

 コツコツと積み重ねた記録に少しだけ胸を張った。ヤンキースの黒田博樹が9月3日、レッドソックス戦で今季10勝目を挙げ、5年連続となる2ケタ勝利をマークした。過去、日本人メジャー投手では野茂英雄も達成できなかった記録で、自身が持つ4年連続を更新した。

「継続するのはすごく大事。この年齢になっても日本人がこっち(メジャー)でできるというのは、自分自身が誇りに思えることだと思います」

 日米通算でプロ18年目を迎える39歳。調子が上がらなかった開幕直後、米国メディアからの質問は、毎試合のように年齢に集中した。だが、衰えを指摘するかのような声を、黒田は発奮材料に変えた。登板前には球団のメンタルトレーナーとも頻繁に話し合いを持ち、年齢を経験値と置き換えるなど、常にポジティブ思考を維持し続けた。

「周りの目をいい意味で覆すというか、それが自分の力、エネルギーになっていると思います」

自らに「この試合、この1球が最後」と言い聞かせて。

 2010年以降、毎年、単年契約を結び続けてきた黒田にとって、「毎シーズンが、最後のつもり」との言葉は、紛れもない、本音だった。実際、昨季はオールスター直前まで防御率争いで上位を走りながら、8月中旬以降は調子が急降下。6連敗でシーズンを終えた際には、精神的にも追い詰められ、真剣に引退を考えたこともあった。その反面、メンタル面さえ維持できれば、まだ十分に投げられるとの自信も消えていなかった。

「あの時期にチームに貢献できなかった悔しさはずっと持っていた。それが今の支えになっていると思います」

 今季序盤は打線の援護にも恵まれず、勝ち星が伸びない時期があったものの、後半戦は徐々にペースアップ。過去数年、ほとんど投げなかった時速150km前後のフォーシームを織り交ぜるなど、ベテランならではの投球術で活路を開いた。

 春季キャンプ以来、メジャー1年目の田中将大には、「1年間投げ続けることの難しさ」を伝えてきた。その助言を実証するかのように、サバシアらが次々と離脱していく中、唯一人、開幕から先発ローテーションを守り続けてきた。

 プレーオフ争いも大詰め。自らに「この試合、この1球が最後」と言い聞かせる黒田の姿勢は、今も変わらない。

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