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“ジムのある街”で格闘技興行を!
ブームやバブルでない、確かな熱へ。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2014/09/19 16:30

“ジムのある街”で格闘技興行を!ブームやバブルでない、確かな熱へ。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

打撃で石神保貴を圧倒し、1RTKO勝ちをおさめた清水清隆(右)。試合後「結果は良かったんですが内容が悪かったのでまた精進」とツイートしている。

清水が語った「最低限の仕事」とは?

 ゴングが鳴ると、清水は昨年から力を入れて練習してきたという打撃で石神を圧倒した。右ミドルキックと左ローキックを的確にヒットさせて圧力をかけ、1ラウンド終盤にはパンチの連打でたたみかける。そしてインターバル中にドクターチェックが入り、そのまま試合は終わった。清水のパンチを浴びた石神が、アゴを骨折したと診断されたのだ。

 1R終了時、TKO。試合内容には満足していない様子だった清水だが、「知り合いの声が凄く聞こえて、ホームでやってるなという実感がありました。おかげでいつもより緊張しませんでしたね」と語っている。また「最低限の仕事はできたと思います」とも。

 その“仕事”とは、判定に持ち込ませずにフィニッシュしたことだけではなかったはずだ。試合を終えると、清水はキッズ会員たちをリングに招き入れている。

「一人でも多く格闘技を続けてくれたら」

「勝ってみんなをリングに上げたかったんですよ。そうやって、一人でも多く格闘技を続けてくれたらと思って」

 この日、会場で観戦した子どもたちは、いつも自分たちにパンチやタックルを教えてくれる先生の強さに驚いたことだろう。リング上から見た光景も忘れられないものになったはずだ。週明けのトレーニングは、いつも以上に力が入ったのではないか。

 自分たちの街の、自分たちの格闘技。それが、ブームやバブルとは違う格闘技熱を高めようとしている。

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