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“シンジ対決”での主役は岡崎!
香川の復調、丸岡初陣にも煌めきが。
 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byBongarts/Getty Images

posted2014/09/21 15:00

“シンジ対決”での主役は岡崎!香川の復調、丸岡初陣にも煌めきが。<Number Web> photograph by Bongarts/Getty Images

試合終了直後にユニフォームの交換をした岡崎と香川。「序盤のチャンスさえ決めていれば、こちらの試合だった」とポジティブなコメントを残した香川。

「お前なら出来るぞ! 試合を楽しんでこい」

 そして、後半29分だった。ガイスのスルーパスを受けた右FWのハイロがクロスを送ると、ギンターがスライディングで防ごうとしたのだが、ギンターの足に当たったボールはコースが変わりゴールラインを割ってしまう。ドルトムントにとっては痛恨のオウンゴール。これで2点差となる。

 直後に呼ばれたのが、この試合でベンチ入りを果たしていたドルトムントの丸岡満だった。

「お前なら出来るぞ! 試合を楽しんでこい」

 クロップ監督にそう声をかけられると、ベンダーに代わり、後半35分からピッチへ。直後のスローインではボールを受けるのをためらう素振りを見せたが、ボールがやってくると丸岡の緊張は一瞬で吹き飛んだようだった。

 後半37分、丸岡がこの試合で初めてボールに触れた――。

 こぼれ球をハーフウェイライン手前で拾うと、寄せてきたモリッツとバウムガルトリンガーをあっさりかわす。さらにボールを奪いにきいたガイスをかわそうとしたところでファールで倒されてしまった。これには主審も迷わずイエローカードを出す。

「やっぱり初めてやったんで、遠慮気味になったプレーもありました。ファーストプレーって大事だと思うんで、それでああいうプレーできて、『いけるんじゃないか』と。それも自信につながりました」

 丸岡はそう振り返る。

「僕なんかは、パスを出してもらってナンボですけど、彼はボールを持ってしかけていかないといけない。結果も求めれられるでしょうしね。でも、その割にはメチャメチャ上手くできていたんじゃないですかね」
18歳にして、このハイレベルな一戦でデビューした丸岡について、岡崎もたたえていた。

勝負を分けた、センターフォワードの差。

 もっとも、その後はマインツがしっかりと守り切り、2-0での大金星。暫定ながら、順位を2位にあげることに成功した。火曜日の試合であれだけのパフォーマンスを見せていたドルトムントからすれば、手痛い一戦となった。

 勝敗をわけたのは、両チームのセンターフォワードの決定力の差だ。ラモスが3度の決定機を一つでも決めていたのなら、試合の行方は変わっていたはずだ。逆に、岡崎は決定機をしっかりとものにしたのだった。

 丸岡は試合後にこう話した。

「デビュー出来て、とりあえず良かったです。でも、チームが負けてしまったので……。やっぱり、負けると悔しい。切り替えて、次の試合に呼んでもらえるように明日から頑張ります」

 先週の試合では満面の笑みを浮かべていた香川も、悔しさをにじませた。

「自分のコンディションにしてもそうですけど、もっと、もっと、良くなると思っています。この負けをしっかり活かすためにも次の試合が大事ですし、次の試合に向けてどんどんやっていきたいと思います」

【次ページ】 香川のチーム連係は、まだまだ完璧には遠い。

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