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「ダートで見直す!プレシャスルージュ」 

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posted2014/08/14 08:30

「ダートで見直す!プレシャスルージュ」<Number Web>

 焼けつくように暑い日差しが照りつけるこの夏の時期、競馬の世界はフレッシュ眩い光が、ターフを駆け巡り、熱い戦いを繰り広げています。

 競走馬にとって最初のレースとなる新馬戦。2歳の若駒たちが、競馬場という舞台に立ち、宿命付けられた運命のスタートをきっているのです。

 その中でも特に注目を集めたのが、7月26日の土曜日に愛知県にある中京競馬場で行われた芝・1600mによる1戦でした。

 というのも、あの凱旋門賞に2度参戦したオルフェーヴルの弟アッシュゴールドが参戦。素晴しい成績を残した偉大な兄の弟ということに加え、担当者と騎手、厩舎も同じとあって、他陣営の中にはこのレースを回避して別の新馬戦 を選択する馬もいる中、16頭がエントリー。

 もちろんそのアッシュゴールドが抜けた1番人気となり、スタートがきられました。

 ゲートが開き各馬が出を伺う中、先頭にたったのは、馬と同じく今年デビューしたばかりの新人・松若風馬騎手騎乗のプレシャスルージュ。

 対するアッシュゴールドは好位のインコースで折り合いに専念しながらレースを進める池添騎手。しかし最後の直線は、兄譲りの切れ味は披露できず6着に終わりました。

 そして勝利したのは2番手からレースを進めた6番人気のヒルノマレット、そして2着は10番人気馬と、波乱となったのです。

 しかしながら馬も人間と同じように、産まれもっての気質やポテンシャル、適性は馬それぞれ。早熟タイプがいれば、徐々に力をつけていく晩成タイプも存在し、たった1回のレースを終えただけで各々の度量を量ることはできず、今回敗戦をした馬の中にも今後大きな変わり身を期待できる馬も大勢いるのです。

 もちろんアッシュゴールドもそうですが、果敢な逃げを演じたシルクホースクラブ馬のプレシャスルージュもその1頭で、担当する濱田助手も、「負けはしたけど、ハナに立てるだけのスピードはあったし、4コーナーまで先頭で頑張っていた。手先の軽い走りをするので、芝でもいいかな?と思ったけど、血統背景からも本質はバリバリのダート馬。ダートに舞台が変われば、さらに面白みが増すと思うよ」と、12着という結果に悲観するどころか、愛馬の頑張りと内容に明るい表情でした。

 確かに若駒時代、スタートセンスと二の脚の速さは大いなる武器。

 しかもこのプレシャスルージュ、普段から並々ならぬ精神力の強さを兼ね備えており、ヘコタレルことを知らない勇敢なオトコなのだそう。

 基本、馬は臆病な生き物。

 よって新馬戦を迎えるまでにクリアしなければならないゲートや追いきりといった、いつもと違う状況をしいられると、ほとんどといっていい馬が、食欲が落ちたり、体調を崩したり、元気をなくしたり、イライラしたりと、何かしらの変化があるのです。

 しかしこのプレシャス君、ご飯はいつもペロリとたいらげ、調教にもめげるどころか、濱田さんが叱ると倍返しで反抗。

 そんな我の強さはあるものの、いつまでも怒るのではなく、その後はスッと落ち着き、物覚えもはやく理解力も抜群なのだとか。

 また馬房の中では、ほとんど無駄な動きをせず、体力を温存。

 2歳にして早くもONとOFFの切り替えがしっかりとつけられる性格というのも、心強く、今後も体調面での大きな変化は少なそう。

 現に始めてのレースを終えた直後も食事を残すことなく食べ、イライラするどころか、逆に落ち着きを増しているとか…。

 今後は、一旦放牧にだされリフレッシュをはかった後、今度はダートでのレースを選択する可能性が高い様子。

 大きな変わり身と共に美味しい馬券も期待できそうですので、是非とも皆さん、プレシャスルージュ号に注目されてみてはいかがでしょうか?

 ホソジュンでしたぁ。

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プロフィール
細江純子(ほそえじゅんこ)
昭和50年愛知県生まれ39歳。
1996年競馬学校12期生として、騎手デビュー。同期には和田竜二、福永祐一、柴田大知騎手など。
2000年に日本人女性騎手として初の海外勝利。2001年騎手を引退。
現在はホースコラボレーターとして、フジテレビ「みんなのKEIBA」に出演。
日本軽種馬協会、UMJINなどで執筆中。
短編小説「ストレイチャイルド」「ホソジュンのステッキなお話」を出版。

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