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オランダの23人出場に日本の可能性を見る。
~W杯の過密日程を逆手に取れ~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

PROFILE

photograph byKoki Nagahama/JMPA

posted2014/08/07 10:00

延長戦やPK戦で控えの選手も一体となって挑む姿勢が目立ったオランダは、見事3位に。

延長戦やPK戦で控えの選手も一体となって挑む姿勢が目立ったオランダは、見事3位に。

 ブラジルの歴史的惨敗、ハメス・ロドリゲスのブレイクなど、様々な話題があったワールドカップだが、個人的に印象に残っているのは「オランダの全員出場」。登録メンバー23名全員を使って、全7試合を戦い抜いたことだ。

 ただ全員が出たというだけではない。第3GKフォルムの途中出場は温情采配だろうが、それ以外は確かな目的に応じて使い分けられた結果である。

 例えば、フィールドプレーヤーでは最後のひとりとなったクラシーは、準決勝でデヨングに代わって途中出場。これによって明らかにパスの回りがよくなり、ポゼッションが安定した。単に全員出場を優先した起用とは思えなかった。

 現代サッカーでは走力の重要性が間違いなく高まっている。特に個人のスピードやパワーで劣る日本の場合、常にコンパクトな状態を保って試合を進めようと思えば走力が不可欠。当然、コンディションの良し悪しがカギを握る。

 1カ月に1、2試合ペースの予選であれば、同じメンバーでも戦い続けられるだろう。しかし、本大会は違う。ある程度選手を回していかなければ、ワールドカップを戦い抜くことは難しい。

昨秋のU-17W杯、吉武ジャパンも登録全選手を起用。

 ならば日本はオランダ以上にターンオーバーの発想を強くし、消耗の度合いを小さくすることで勝負できないだろうか。オランダを見ながらそんなことを考えていたとき、思い出したのが昨秋のU-17ワールドカップである。

 U-17日本代表を率いた吉武博文は登録全21名をフルに生かし、毎試合選手を入れ替えた。吉武は当時、中2、3日で最大7試合をこなし、約1カ月で優勝を決めるU-17ワールドカップを「ナンセンスな非日常の大会」と評し、こんな話をしている。

「経験のために全員を試合に出しているのではなく、ある程度のパフォーマンスを発揮するにはこの方法しかない」

 なるほど、あらためて吉武の言葉が腑に落ちた。

 幸い日本にはメッシもロッベンもいない。誰かが他の選手と入れ替わったからといって、極端に力が落ちるということは起こらない。あとは準備の問題だ。

 1カ月で最大7試合を戦うからこそ、付け入るスキがある。厳しい日程を逆手に取る、そんな発想があっていいと思う。

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