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<笑顔なきMVP> リオネル・メッシ「あんな負け方は辛すぎる」 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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photograph byItaru Chiba

posted2014/07/24 11:00

<笑顔なきMVP> リオネル・メッシ「あんな負け方は辛すぎる」<Number Web> photograph by Itaru Chiba
その左足で母国に栄光をもたらすはずだった。
だが、決勝トーナメントでは無得点。
悲願が叶わなかった今、去来する思いとは。

本日発売の『Number PLUS 永久保存版 ブラジルW杯総集編』より、
アルゼンチンのエース、メッシの苦闘を振り返った記事を一部公開します。

「MVPなんてどうでもいい」

'78年大会のケンペスや'86年大会のマラドーナと肩を並べる栄誉に浴しながら、決勝後のミックスゾーンでメッシは呟くように嘆いた。

「もう少しでPK戦だったのに、あんな負け方をするなんて辛すぎる。僕らはゴールチャンスを作った。違う結末を迎えてもおかしくなかった」

 前夜SNS上で「明日、僕らは人生で一番大事な試合を戦う」と宣言したとおり、彼の胸中にあったのはアルゼンチンの優勝だけだった。

 にも拘わらず、チームを勝たせることができなかったメッシに対する大会後の風当たりは強い。アルゼンチンを初の世界王座に導いたケンペスも酷評している。

「グループステージでは4得点したが、大会の終盤は世界最高の選手とは言いがたかった。異なる見方もあるだろうが、わたしはメッシのプレイはワールドカップのレベルになかったと思う。彼はアルゼンチンが必要としたリーダーではなかった」

グループリーグ後の戦術変更でメッシは割を食った。

 何よりケンペスを苛立たせたのは、準決勝や決勝でのメッシの「存在感が足りなかった」ことだ。

 だが、それには訳がある。グループステージを抜けた後、アルゼンチンは戦い方を変えた。メッシはその割を食ったのだ。

 アルゼンチンはもともと攻撃力が売りのチームであり、サベージャ監督は次の理由でメッシシステムとでも言うべき4-3-3というフォーメーションを用意もした。

「メッシがボールを持った際、パスコースが1つしかなかったり、ドリブルするしかないとなると敵に楽をさせてしまう。また選択肢が少ないということは、メッシと共に攻める選手が少ないということであり、数的にも劣勢になる。メッシの優れた能力をより高めるには、一緒に攻め込む仲間が多ければ多いほど良い」

【次ページ】 アグエロ、ディマリアの負傷で分厚いサポートが消えた。

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