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東大志望の注目株に見る、「文武両道」の現在。
~芝高エース、田中裕貴の成長曲線~ 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/07/17 10:00

東大志望の注目株に見る、「文武両道」の現在。~芝高エース、田中裕貴の成長曲線~<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

中高一貫校の芝高のエース、田中裕貴。188cmの左腕は、「東大の連敗を止めたい」と語る。

 この春に全国各地で行われた大学のリーグ戦で、京都大、名古屋大の本格派投手が話題になった。「文武両道」というマスコミ受けする観点で騒がれたためその実力を当初は疑ったが、大学日本代表選考合宿中の紅白戦に登板した田中英祐(京都大)と七原優介(名古屋大)を実際に見て、無名の高校時代を過ごしたとは思えない迫力あるピッチングに目
をみはった。

 東京で話題を集めたのは東大の76連敗である。他校が有名球児を推薦制度で獲得できるのに対して、東大にはそういう恩恵がない。唯一、野球部による受験指導が対策と呼べるものだが、東大志望の有望選手が増えなければ受験対策も絵に描いた餅に終わる。

 そんな折、今年の高校球界に格好の選手が出現した。東東京大会1回戦に登場した芝高の左腕、田中裕貴だ。昨年の準々決勝進出校、都立江戸川高に臆することなく立ち向かった田中は9安打、2失点に抑え、チームを2回戦に導いた。

 昨年秋は肩口からボールを押し出すようなフォームに違和感があったが、今は小さいテークバックでもしっかり肩を回して真上から腕を振るようになり、140kmに迫る球速を得たストレートは見違えるほど力感を増した。

伊藤優輔、柳川健大、西目直生も進学校のエース。

“東大志望”も明言している。芝高の東大合格者は毎年10名ほどだが、OBによれば、今後の精進次第ではそのハードルは十分クリア可能だという。

 知名度を増した田中の磁力に引き寄せられ、「じゃあ俺も東大で」という選手が増えてくれば面白い。

 進学校にいれば誰でも東大に行けるわけではないが、春の選抜で話題になった伊藤優輔(小山台)や柳川健大(岩国)、さらに激戦区・群馬で高評価を得ている西目直生(前橋)は名前が取り上げられるたびに東大入りも囁かれる進学校のエースである。

 大学野球では、今春から首都大学リーグが平日のリーグ戦を捨ててまで授業優先にこだわっている。東京六大学や東都大学リーグもその流れと無縁ではなく、全体練習を少なくして、不足分は個人練習で補うようになってきた。

 そういう高校・大学球界の動きに芝の大型左腕、田中の出現は見事にシンクロしており、象徴的な存在と言えるのだ。

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