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「メッシ対ドイツ」を超える戦いを。
決勝に相応しい個の激突が見たい。 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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posted2014/07/12 10:30

「メッシ対ドイツ」を超える戦いを。決勝に相応しい個の激突が見たい。<Number Web> photograph by Getty Images

満身創痍のアルゼンチンにとって、頼みの綱はメッシしかいない。決勝戦ではさすがに走るのか、それとも「走らずに決める」スタイルを貫くのかも見所だ。

「個」が激突する局面の多発に期待したい。

 今回はオランダとのPK戦で2本止めたGKロメロの活躍に加え、中盤には白眉の守備を見せるハビエル・マスチェラーノがいる。'06年のW杯優勝選手であり、FIFA年間MVPであるファビオ・カンナバーロ(元イタリア代表)が「キャプテンマークを巻いているのはメッシだが、このチームで最高の活躍をしているのはマスチェラーノだ」と言うように、世界各国テレビ局のコメンテーターたちがこぞって絶賛する潰し屋の充実ぶりは頼もしい。守備が薄いという前評判を完全に覆している。

 試合を重ねる毎に主将らしい振る舞いが板についてきたメッシにとっては“マラドーナ主将”がなしえなかった「ドイツを破っての優勝」をかなえると同時に、'86年のマラドーナ以来の頂点という至福をアルゼンチン国民にもたらす場となる。

 大会前からともに優勝候補に挙げられた実力も実績もある両国の対戦は、これまでの6試合と同様に「メッシ対ドイツ」という基本構図が崩れることはないだろう。だが、見たいのは、そこに「メッシ対ノイアー」や「エジル対マスチェラーノ」という局面が数多く繰り広げられることだ。エネルギーの出し惜しみない白熱した展開こそが、開催国ブラジルが去った'14年W杯をポジティブにコンプリートさせる。

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