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オールスター初選出はむしろ“当然”?
年を重ねるごとに成長する上原浩治。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2014/07/14 10:30

オールスター初選出はむしろ“当然”?年を重ねるごとに成長する上原浩治。<Number Web> photograph by Getty Images

7月10日時点で41試合に登板し、5勝2敗18セーブ、防御率1.27。低迷するチームにあって、抜群に安定した成績を残している上原浩治投手。リリーフという厳しい環境下で、この数字は驚異的と言っていいだろう。

徹底したデータ戦略で、選手が丸裸にされる時代。

 かつて石井一久氏から聞いた話で、今も自分の中で肝に銘じている言葉がある。

「この世界(メジャー)は長くやればやるほど難しくなってくる」

 対峙するのは世界最強の打者ばかり。しかも、シフト守備が日常化するほどデータ戦略が徹底され、選手が丸裸にされる時代だ。その中で毎年のように成績を残すのがどれだけ大変なことか。

 ここ最近ヤンキースの田中将大が開幕当時のような圧倒的な投球ができなくなってきたのも、右ヒジの状態だけでなく、相手チームから研究されていることも影響しているはずだ。

 そんな世界で、上原は真っ直ぐとスプリットだけ(時折カット系のボールを投げるが、本人が何度も発言しているため2球種とさせていただく)で、並み居る強打者達を抑え続けているのだ。

 だが上原も、登板ごとにギリギリの戦いを続けている。

 時にはフォームのタイミングを変えてみたり、さらに右打者外角のスプリットの使い方に注意し、またある時は投球のくせを見破られないようにと、細心の注意を払っている。

本塁打5本のうち、4本を打たれているデーゲーム。

 しかも、そんな裏事情を包み隠さずファンにさらけ出しているのだ。

「(いつも)苦労はしてますよ。打たれた時は苦労しているということ。その時にどうするかということを考えないといけない。

 僕の場合は真っ直ぐがそんなに速くないですし、162試合すべてにおいて体調もバッチリ、身体もバッチリにしておかないと抑えられないと思う。95、96マイル投げる人たちとはちょっと違うんでね。身体が疲れてくると打たれてしまう。この疲れをとるにはどうしたらいいかっていうのをホンマに考えないといけない。

 あと(今シーズン)打たれているのがほとんどデーゲームというのがあるので、デーゲーム対策というのを考えないといけないですね」

 確かに、今シーズンはデーゲームで打たれるケースが多かった。

 ここまで6失点のうち5点が本塁打によるもの(しかもすべてソロ本塁打)で、しかも4本塁打がデーゲームのものである。

 だがここ最近はデーゲームの調整法を変えて、対応しつつある。

【次ページ】 全試合投球準備をするリリーフは、微調整が難しい。

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