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田中将大と最多勝を争う、地味だが凄い技巧派左腕。
~無事是名馬、バーリーの投球術~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2014/07/09 10:00

田中将大と最多勝を争う、地味だが凄い技巧派左腕。~無事是名馬、バーリーの投球術~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

積み上げた勝利は196(7月2日現在)。完全試合と無安打試合を1度ずつマークしている。

 無事是名馬――。

 今季のア・リーグでヤンキース田中将大と最多勝争いを繰り広げるブルージェイズの左腕マーク・バーリーが6月29日、ホワイトソックス戦で自らが持つ現役最長の446試合連続先発記録を更新した。過去13年間にわたり、先発投手として「一流」とされる投球回数200回、30先発、10勝を継続しているのは、メジャーでバーリー唯一人。何よりもその間、一度も故障者リスト入りすることなく、先発ローテーションを守り続けてきた鉄人ぶりは、意外にも知られていない。今季も両リーグ最速で10勝に到達したが、35歳のベテランに気負いはない。

「田中は本当に素晴らしいし、試合そのものを支配し続けている。ただ、僕が(今季)10勝しているなんて誰も気付いていないんじゃないか。まあ、僕は自分の投球に集中するだけだがね」

 1998年ドラフト38巡目でホワイトソックス入りしたバーリーは、'01年から先発ローテーションに定着し、常に高いレベルで安定した成績を残し続けてきた。速球は時速140kmにも満たない。だが、球速差の少ないチェンジアップ、スライダー、カーブに加え、カッター、ツーシームを絶妙の制球で両コーナーに投げ分け、凡打の山を築くスタイルを確立。'05年のオールスターでア・リーグの先発を務めるなど、球界を代表する技巧派左腕となった。

メジャー最速の投球間隔と制球力はもはや芸術の域。

 しかも、快調なリズムが最大の特徴で1球ごとの投球間隔16.9秒、9イニングに換算した1試合平均2時間39分はメジャー最速。あまりの速いペースに、狙い球を絞れない打者が、審判にタイムを要求する光景も珍しくない。150km台の快速球がなくても、抜群の制球力と快テンポでバットの芯を外す芸術的な投球は、かつて「精密機械」と呼ばれ、通算355勝を挙げて殿堂入りしたグレッグ・マダックス(元ブレーブスなど)の領域に近付いてきた。

「リズムが速ければ速いほど、結果はいいもの。時間を無駄にする理由が、僕には見当たらない。バックを守る連中も、いつだって速い試合が好きだろう」

 今季は、ブルージェイズも地区優勝争いの有力候補。ベテラン左腕にすれば、田中とのタイトル争いに興味はなくても、ペナントだけは譲るつもりはない。

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