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レーブ&クリンスマンの「師弟対決」。
ドイツ、アメリカが揃ってG組突破。 

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了戒美子

了戒美子Yoshiko Ryokai

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photograph byGetty Images

posted2014/06/27 11:25

レーブ&クリンスマンの「師弟対決」。ドイツ、アメリカが揃ってG組突破。<Number Web> photograph by Getty Images

試合を終え、双方がグループリーグ突破を決めたアメリカを率いるクリンスマン(左)とドイツを率いるレーブ(右)。次に顔を合わせるとすれば決勝まで勝ちあがるしかないが……。

クリンスマンの愛弟子2人が先発で登場。

 それでも、この記事と写真は、手打ちなどあり得ないというドイツ人達の感情の表れだと受け取る事が出来る。正統派のスポーツ専門誌である「キッカー」も「クリンスマンとは連絡は取り合ってないよ」というレーブの談話を掲載。とにかくドイツサイドとしては、目の前の一戦に勝利しようというテンションでまとまっていた。

 この試合、レーブは2人のスタメンを入れ替えた。ケディラに代えてシュバインシュタイガーをボランチに、ゲッツェに代えてポドルスキを3トップの一角に起用した。共にクリンスマン時代に、彼の進めた世代交代の象徴としてブレイクした選手。ドイツW杯では共に得点を挙げ、ポドルスキはベストヤングプレーヤーという賞まで獲得した。今大会初先発が恩師との対決となったというわけだ。

スコア以上にあった力の差。

 今大会のここまでを見ると、シュバインシュタイガーは現地入りしてから初戦までの間にヘリコプターで病院に搬送されるなど(ドイツ協会は定期検診と強調しているが、真相は明らかになっていない)心配されていたが、突破がほぼ確定しているためテストに踏み切ることが出来たとみることも出来る。

 ポドルスキに関しても、同ポジションでゲッツェのパフォーマンスを把握できたところで、この先のために頭から試しておきたいところだったということだろう。

 試合は立ち上がりから圧倒的にドイツのペース。レシフェという高温多湿の海岸沿いの都市で13時からの試合ではあったものの、豪雨の影響もあり気温は上がらなかった。これは、ドイツにとって追い風となった。また、水がたまりコントロールに苦戦するピッチで、技術の高さとフィジカルの強さが際立ち、アメリカを寄せ付けない。

 しかし試合のペースを握り再三チャンスを作りながらも、前半は0-0。後半に入ると、ポドルスキに代えてクローゼを投入し、先制点を狙う姿勢を見せた。それが実ったのが55分、エジルのショートコーナーにメルテザッカーが合わせ、GKがはじき出したこぼれ球をミュラーが右足でサイドネットに突き刺して1-0。

 この後、アメリカは体力を振り絞りプレスをかけてゴールを奪おうと懸命のトライを見せるが、ドイツのボール回しの前に走らされ消耗する一方。シュート数は13対4(枠内シュートは9対1)、支配率は63パーセント対37パーセントとスコア以上にドイツの完勝だった。

【次ページ】 ようやく本番が始まる、そんなニュアンスだった。

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