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イチローがレギュラーに返り咲き!?
監督好みの「選球」で四球量産中。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byGetty Images

posted2014/06/30 10:30

イチローがレギュラーに返り咲き!?監督好みの「選球」で四球量産中。<Number Web> photograph by Getty Images

かつては、安打は多いが四球が少なくて、高い打率の割に出塁率が伸びないことも多かったが、「選球」というスタイルを手に入れたイチローを、監督は重宝している。

オールスターまでのイチローのプレーが鍵に。

 特筆すべきは、打席で我慢強く、四球を選んでいることだろう。アグレッシブな姿勢がイチローのトレードマークだが、ジラルディ監督のスタイルに合わせて「選球」しているのだ。これがレギュラー定着のひとつの理由だと思う。

 私は先月の時点では、あまりイチローを起用しないのであれば、先発投手との交換でトレードもあり得ると思っていた。

 しかし、ソリアーノが不調、さらにベルトランがケガに不安を抱えている状況では、ヤンキースはイチローを手放す選択肢はないと思う。シーズン終了までピンストライプのユニフォームを着ている確率は高いだろう。

 ただし、今後のポストシーズン進出を睨んだ時に、この外野手の布陣では不安が残るのもまた事実だ。

 まずは、左打者に偏り過ぎていること。ベルトランはスイッチヒッターだが、ガードナー、エルズベリー、イチローと左打者が並び、サウスポー相手には不安を残している。

 それに右翼までの距離が短いにもかかわらず、本塁打が少ないのも悩みの種だ。

 私が予想しているのは、ソリアーノがこのまま低空飛行を続けるのなら、契約が今季限りということもあり、リリースされる可能性が出てくること。

 ただし、その代わりに右打者の獲得に動くかもしれないし、そうなるとイチローのポジションは約束されたものではなくなる。

 チームとしては、なんとか外野手の「生産力」を上げたい。イチローがオールスター・ブレイクまでにどんなプレーを見せるかで、補強の方針も変わってくるのではないか。

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