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まっすぐな男、則本昂大に求められている変化。
~力投派エース、緩急を磨けるか~ 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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photograph byNanae Suzuki

posted2014/06/25 10:00

まっすぐな男、則本昂大に求められている変化。~力投派エース、緩急を磨けるか~<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

 サインに首を振って投げ込んだ、胸元へのストレート。今シーズン5度目となる完封劇のシナリオを書き上げるために、イーグルスの則本昂大はジャイアンツの坂本勇人の懐を抉った。

 6月15日、日曜日の仙台。

 先発の則本は8回までジャイアンツ打線を1安打、無失点に抑えていた。そして迎えた最終回、ノーアウト二、三塁のピンチを背負った則本は、坂本を追い込んだ後、勝負球にインコースへのストレートを選んだ。胸元へ食い込む則本の生命線――しかしその148kmは、内角打ちの天才、坂本にうまく腕を畳まれ、カットされてしまった。

 決め球をファウルされて、外で勝負せざるを得なくなった則本は、一転、アウトコースへ149kmのストレートを投げ込む。しかし坂本はこのボールをセンター前へ弾き返し、これが逆転の2点タイムリーとなった。強い球でとことん押そうという則本の持ち味が裏目に出た。

 完封を目前にしてジャイアンツに敗れた則本ではあるが、この試合も当たり前のように一人で投げ切って、今シーズン6試合目の完投を記録した。12球団を見渡しても3完投が4人しかいない中での7完投、5完封は突出している。則本は試合後、「完投したといっても負けたことに変わりはない。粘れなかった僕が悪い」と、チームの負けを背負い込んだ。

「金子さんや岸さんのような“3D”に憧れちゃいますね」

 力で押しまくるタフなピッチングは、古き良き時代の匂いを漂わせる。ゲン担ぎにと、球場入りもファウルラインをまたぐのも、ズボンを穿くのも靴のヒモを結ぶのも、必ず左足からと決めている。子どもの頃、松坂大輔に憧れてフォームの土台を作ったからと今でも振りかぶることにこだわり、テレビで見た津田恒実の三球勝負に心を震わせたからと、ずっとまっすぐ勝負にこだわってきた。そんな則本が、こんな話をしていた。

「金子(千尋)さんや岸(孝之)さんのように、緩いカーブやチェンジアップで奥行きを使った“3D野球”が、僕にはできない。ブンとバットを振ったのにまだボールが来ない、みたいなピッチングにも憧れちゃいますね」

 試合を決める1点を与えない。そのためには、緩いボールが必要になることもある。後半戦、則本にはそんなピッチングが求められているのかもしれない。

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