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ウォリアーズHCに就任した、カーが今一度求める“魔法”。
~ブルズ黄金時代を知る男の信念~ 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2014/06/07 10:00

ウォリアーズHCに就任した、カーが今一度求める“魔法”。~ブルズ黄金時代を知る男の信念~<Number Web> photograph by Getty Images

 スティーブ・カーがゴールデンステイト・ウォリアーズのヘッドコーチに就くと発表になったとき、誰もが驚いた。コーチ経験がまったくない彼が、ウォリアーズから5年2500万ドルという高額サラリーの契約を得たことも驚きだったが、それ以上に、ニューヨーク・ニックスのヘッドコーチの座を蹴ったことが驚きだった。恩師でニックス球団社長のフィル・ジャクソンの熱烈な誘いを受けるものと、誰もが思っていたのだ。

 もっとも、理由を聞くと意外でも何でもなかった。第一に、大学と高校に通う娘や息子たちと同じカリフォルニアのチームで、家族が行き来しやすいこと。子供が小さいうちはコーチという夢を後回しにしてきたほどの家族思いの彼らしい理由だ。

 ウォリアーズ自体の魅力もあった。すでに才能ある若手選手が揃っているほか、組織として上り調子なのを感じたという。優勝するには、選手が揃っているだけでなく、組織が強くないといけないというのは5回の優勝経験で学んだことだ。

「このチームが自分にはぴったりだと感じた」とカーは言う。

「組織がすべて一体となったときに魔法が起きる」

 コーチ経験はないが、実は、子供の頃から名将との縁がある人生を送ってきた。子供の時にはUCLAを12年で10回の優勝に導いた故ジョン・ウドゥンのチームでボールボーイをした。大学ではルート・オルソンに教わり、NBAに入ってからは、選手としては脇役だったが、レニー・ウィルケンズ、フィル・ジャクソン、グレッグ・ポポビッチと、名将たちのもとを渡り歩いた。コーチとして悩んだとき、ジャクソンやポポビッチに気軽に電話できるとは、なんと贅沢なことなのだろうか。

 解説者としても成功していたのに、コーチになりたかったのは、チーム作りに魅力を感じていたからだという。ファイナルフォーに出たアリゾナ大時代、3回の優勝をしたブルズ時代、2回の優勝をしたスパーズ時代に感じた充実感を、自分の手で作り出したかった。

「NBAには選手や解説者、GMとして合計26年間関わってきたけれど、最高の瞬間はチームを作るときだった。選手たち、コーチ陣、フロントの組織がすべて一体となったときに魔法が起きる。あれをまた経験したい」

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